よく「憂うつ」になってしまう人は、実は「未来」を見ている!? 憂うつになる原因を、「未来の自分を考えすぎているから」というのは心理カウンセラーの大嶋信頼さん。そんな大嶋さんの著書『憂うつデトックス』(ワニブックス)には、先々のことを想像しすぎることで憂うつになってしまう原因と、そこから解放される思考メソッドがまとめられています。今回はそのエッセンスを厳選して、連載形式でお届けします。
夫の気持ちをモニターする
「過去と他人は変えられない」――これが一般常識でしょう。
だから、パートナーを変えようとすればするほど苦しくなってしまう。
変えようとすると、必ず相手から「変えられるものか!」と抵抗が起きるから「ムカつく!」こととなりストレスになってしまいます。
でも、脳のネットワークはこれまでの常識を覆してしまいます。
だって、時空を超えてしまうのですから。
たとえば、憂うつな気分になって「この先、この夫と一緒にいなければいけないんだ」と思った時に、時間旅行をしていますから「夫の未来を変えちゃおう!」ということができちゃいます。
憂うつな気分で「あーあ」と言う夫の姿が見えた時に「この人には何を言っても変わらない」と絶望感のようなものが襲ってきます。
それが未来の夫の姿。
そこで「自分が夫の気持ちになってみる」と唱えてみると、夫の気持ちをモニターすることができちゃいます。
自分に対して怯えている
いつも何も考えていないような夫なのですが、夫の気持ちになってみたら「怯えている少年」のような感覚があります。
「夫の気持ちになる」と唱えただけなのに、夫の気持ちがわかるように伝わってきて「この人って怒られることに怯えているだけなんだ」と意外な感じに。
だって、いつも偉そうな態度だし、お金に対してはケチだし、こっちが世話をしてあげることが当たり前と思っている、という印象でしたから。
憂うつな気分で未来の夫につながって「夫の気持ちになる」とやってみたら、怒られることに怯えている少年のような感じだから、怒られないように偉そうな態度をしていたし「お金が無くて責められないように」ということでお金をケチケチして貯めていた。
家事を手伝わないのも「失敗したら怒られる」と怯えているから夫は手を出すことができなかった、などということが見えてきて「へー!」となります。
たしかに怒られることに怯えていたから、妻が問題を指摘すると「うるさい!」と話を聞こうとしなかった。
そんなイメージの中の夫に「怯えなくていいのよ」と伝えてみても「全然気持ちがすっきりしない」、だから未来の夫は変わっていない、ということがわかります。
「あなたは子供じゃなくてもう大人なんだから大丈夫」と伝えても「全然びくともしない」と意固地になっている夫の姿が浮かびます。
「あなたは母親から愛されている」という言葉をイメージの中で掛けてあげたら、ますます怯えが酷くなってびっくりします。
「どんな言葉を掛けたらいいの?」とわからなくなったので、もう一度「夫の気持ちになる」と唱えて夫の気持ちになってみたら「怒られることが怖い」というのと「これまで私にしてきた罪悪感」が伝わってきて「え? 私に対して申し訳ないと思っているんだ!」と驚きます。
そんな素振りを一切見せたことがない夫だったので「私のことなんてどうでもいいと思っている」と信じていたのが違っていたとわかります。
そこで、イメージの中の夫に「自分を許してあげていい」と伝えてみます。
すると「なんだかさっきまでの憂うつな気分がすっきりしたかも」となったので、未来の夫が変わったことがわかります。
そして、現実の世界で「あなたは自分のことを許してあげればいい」と伝えれば夫が変わるんだな、と思っていたら「夫が家事に協力的になっている」と、それまで食器などをテーブルから下げたことがないし洗ったこともないのに、片付けをし始めた夫がいます。
「これって伝えなくていいの?」とちょっと肩透かしのような感じ。
「伝えたらどう反応するのかな?」と楽しみにしていたのに、夫の未来が変わったら現在の夫まで変わってきた。
ちゃんと私の話が聞けるようになっているし「あなたはわかっていない」というようなぞんざいな態度も取らなくなっています。
まだケチケチだけは残っているよね、と課題はありますが、それで憂うつな気分になったら「あなたは自分を許してあげていい」とイメージの中で夫に伝えてあげて、夫の未来を変えてあげるんです。
相手の未来を変える言葉
パートナーは妻であったり、恋人であったり、誰でも。
相手のことを考えたら憂うつな気分になった、ということは「相手の未来がこのまま変わらない」ということになっています。
憂うつな気分で脳は時間旅行をして、未来の相手の姿を垣間見てしまうから、もっと憂うつな気分になってしまう。
憂うつな気分になっているときは、時間旅行をして未来の相手の姿を見ているから、と思って「相手の未来を変えてしまう」というのがこの方法になります。
パートナーに言葉掛けをしてあげて「憂うつな気分がなくなった」となったら「パートナーの未来が変わった」ということになります。
言葉掛けは「そのままのあなたでいいのよ」とか「あなたは変わらなくていいのよ」など優しい言葉が効果的です。
憂うつな気分が消えるような優しい言葉が思いつかなかったら「相手の気持ちになってみる」と頭の中で唱えてみると、相手の気持ちが伝わってきて「え! こんな気持ちだったの?」ということがちょっとわかるようになります。
自分が相手に対してこれまで持っていた印象とはちょっと違ったことを相手が感じていることが「相手の気持ちになってみる」と唱えると伝わってきます。
その気持ちが伝わってきたら「相手の未来を変えるためにこんな言葉を掛けてあげればいい」というのが浮かんできます。
その言葉をイメージの中で相手に掛けてあげます。
相手のイメージははっきりできなくても、頭の中でただ言葉をつぶやくだけで、自分の憂うつな気分が解消されればそれで相手の未来が変わります。
その「相手の未来を変える言葉」は現実でパートナーに声掛けしてあげても構いません。
ふっとした瞬間に「あなたは自分を許してあげていいよ」とつぶやきます。
すると、じわじわと相手の未来が変わっていきます。
脳はネットワークでつながっているので、この一連の作業をするだけで「あれ? 言葉掛けをしなくても相手が変わった」ということが起きることがあります。
この作業をするだけで相手の未来が変わり、そして相手の未来の変化に影響されて現在の相手も変わることができるんです。
【最初から読む】16個以上で「定年後の未来」まで見えちゃっているかも!?
憂うつの正体と、つらい状況から抜け出せるシーン別メソッドを全5章で解説。自分の状態がわかる「憂うつ度診断」のチェックリストも付いています