リズミカルに体を動かすだけ。誰でも簡単にできて脳と体に効く「にしかわ体操」で、認知症予防を心がけてみませんか? 今回は、元NHK テレビ・ラジオ 体操指導者の西川佳克(にしかわ・よしかつ)さんに「にしかわ体操のやり方」を教えてもらいました。
脳と筋肉を同時に鍛えてボケない・コケない体に
「認知症に効く体操はないか?」
「転倒しない体を作る体操はないか?」
――そんな視聴者からの声に応えるべく考案された「にしかわ体操」。
簡単な運動でありながら、脳と体を同時に鍛えることができる、今後を見据える世代にとって、とてもうれしい体操です。
「脳も筋肉も強くなって、認知症や転倒を防ぐ誰にでもできる体操を考えるにあたり、手や指先をしっかり使うこと、考えながら体を動かすこと、体幹や下半身を使うこと、全身を伸ばし柔軟性を取り戻すことに重点を置きました。また、リズミカルに楽しく体操するのもポイント。脳神経外科医から『アルツハイマー型認知症予防に効く』『脳の活動環境が整う』とお墨付きをいただいています」(西川さん)
脳と体の健康のために、毎日の習慣として取り入れてみましょう。
脳と体に効く「にしかわ体操」のやり方
今回は5つの体操をピックアップしてご紹介。リズミカルでご自身が動きやすいテンポの音楽と合わせると効果的。
全てを行わず、自分ができそうな体操から始めてもOKです。慣れてきたら通してやってみましょう。
1.腰落とし×耳鼻触り〈2回繰り返す〉
「足の上にしっかり体重をのせて行うことで、下半身の筋力がアップ。筋肉を引き締めながら、脳を刺激しましょう」(西川さん)
(1)足を肩幅に開いて背筋を伸ばして立ち、両足にしっかり体重をのせるようにして腰を落とす。両手は足の上に添えましょう。
(2)ひざを伸ばしながら、右手で鼻を、左手で耳を触る。再度(1)の体勢に戻し、今度は左手で鼻を、右手で耳を触る。
2.バンザイ×ヨイショ〈4回繰り返す〉
「元気よく『ヨイショ!』と声を出しながら行います。声を出すことでおなかまわりの筋肉が強くなり、ストレス解消にも効果的です」(西川さん)
(1)足を肩幅に開く。こぶしを軽く握り、ひじを曲げて肩の横に。そのまま、しっかり腰を落とす。
(2)ひざを伸ばすと同時に両腕を天井に向けて伸ばし、「ヨイショ!」とおなかから元気よく声を出す。手は目いっぱい大きく開く。
3.屈伸×一人ジャンケン
「テンポよく体を動かしながら、右手と左手でジャンケンを。間違ってもOK 。考えながら体を動かし、前頭葉を刺激しましょう!」(西川さん)
(1)ひざを曲げ伸ばししながら、リズミカルに腕を3回振る。
(2)ひざを伸ばし、右手(グー)が勝つようにジャンケンをする。
(3)(1) の姿勢に戻って腕を振り、再びひざを伸ばし、右手(チョキ)が勝つようにジャンケンをする。
(4)(1)の姿勢に戻って腕を振り、再びひざを伸ばし、右手(パー)が勝つようにジャンケンをする。(左手が勝つパターンでも同様に行う)
4.くねくね×なわとび〈リラックスするまで行う〉
「一人ジャンケンで緊張した脳と体をリラックス。全身の筋肉をゆるめることで、柔軟性が高まります」(西川さん)
なわとびのなわを回すイメージで腕を回しながら、腰を左右に振る。腕は前回しでも後ろ回しでも、やりやすい方で回して。
リズムに合わせて行うのがコツ。音楽に乗って体をゆるめましょう
5.かかと上げ×バランス〈4回繰り返す〉
「第二の心臓とも呼ばれるふくらはぎの筋肉を、かかとの上げ下げで刺激。体の隅々に血液が届くようになります」(西川さん)
(1)足を肩幅に開いて軽くこぶしを作り、腕を曲げてこぶしを肩の近くに引き寄せる。
(2)かかとを引き上げるようにつま先立ちになり、同時に手を開いて前に突き出す。素早い動きで行うのがコツ。
「にしかわ体操」はココがスゴイ!
●筋肉を刺激することで、脳の神経回路が増えて認知機能の衰えを防ぐ
●2つの課題を同時に行うことで、脳の血流量が上がり、前頭葉が刺激される
●音楽とともに行うことで、効果がアップ
取材・文/和栗 恵 撮影/西山輝彦 モデル/永谷佳奈