『92歳、好き放題で幸せづくし』 (粟辻早重 /KADOKAWA)第3回【全8回】
92歳になった現在も、デザイナーとして創作活動に忙しい日々を過ごす粟辻早重さん。彼女の著書『92歳、好き放題で幸せづくし』(KADOKAWA)は、大人世代がその先の人生を自分らしく彩るためのヒントが詰まった一冊です。驚くことに、粟辻さんが陶芸やギターに挑戦したのは90歳を過ぎてから。日課の縄跳びや散歩も、「健康を維持しなきゃ」という義務感からではなく、「自分が楽しいから」続けています。食事もまた、献立をスケッチして器を選ぶ時間を慈しむような、丁寧な暮らしを大切にする一方で、大好きなコーラやカップ麺も我慢しません。年齢という枠を軽やかに飛び越え、今この瞬間を味わい尽くすその姿は、私たちに「老い」への希望を届けてくれます。
※本記事は粟辻 早重 (著)による書籍『92歳、好き放題で幸せづくし』から一部抜粋・編集しました。
リュックを背負って食材の買い出しへ

重い野菜を詰め込んだリュックを背負い、坂を上って帰ってくることもあります。
食材の宅配などの便利なシステムもありますが、私はこまめに買い出しに行く派です。歩きやすい靴を履いて、リュックを背負うのがいつもの買い物スタイルです。
自宅から歩いて行ける距離に、スーパーマーケットが2軒。どちらも片道10分ほどですが、片方は途中に坂があります。行きは下りだけれど、帰りは上りになるのでちょっと大変。でも「昨日はあまり動かなかったな」なんてときは、あえて「行きはよいよい帰りは怖い」のスーパーに行くことにしています。
普段の買い物タイムは午後なのですが、あるとき、なんとなく午前中に出かけました。自宅に戻ってくると、長女が玄関のカギをガチャガチャ。急用でもあるのかしら?と思って声をかけると、パッと振り向き、「おはよう」も言わずに「どこに行ってたの?」。
朝、電話をしたけれど私が出なかったため、何かあったのでは?と心配になったのだとか。「いいお天気で気分がいいから、スーパーに行ってきたのよ」という私の答えを聞いたときの、なんともいえない表情ときたら!
あれはホッとしたのかしら。それとも、マイペースな私にあきれていたのかしら......。






