
『働きすぎで休むのが下手な人のための 休息する技術』 (菅原 道仁/アスコム)第1回【全7回】
「休む」というと、ただゴロゴロすることだと思っていませんか? 寝ても疲れが取れないのは、あなたが「疲れの正体」を知らないからかもしれません。書籍『働きすぎで休むのが下手な人のための 休息する技術』(アスコム)では、脳神経外科医の菅原 道仁氏が、長年の研究からたどり着いた「疲れを取るための技術」を分かりやすく解説しています。ご自身の体の状態を理解することから始め、その時のあなたに合った「正しい回復法」を実践するだけで、少しずつ体が軽くなっていくのを実感できるでしょう。今回はこの本の中から、だるさや重さから解放され、毎日をいきいきと過ごすためのヒントをご紹介します。
※※本記事は菅原 道仁 (著)による書籍『働きすぎで休むのが下手な人のための 休息する技術』から一部抜粋・編集しました。
疲れやすい人、疲れにくい人。その違いって何?
「タフな人」という表現が使われることがあります。精神的にも、肉体的にも、です。
これは見方を変えると、「疲れにくい人」と解釈することもできます。タフであれば、疲労を感じるまでの時間が、タフといわれない人に比べて長くなるのが自然だからです。そして当然のことながら、その反対に「疲れやすい人」も存在します。
読者のなかで、「自分はタフで疲れにくい」と思っている人は、まずいないでしょう。タフではないと思っているから、疲れやすいから、上手に休息をとりたいから、本書にヒントや救いを求めているはずです。
疲れやすい人と疲れにくい人、両者の違いはどこにあるのでしょうか。
体の疲れの場合、持って生まれた体質、食事を中心とする生活習慣、運動習慣、慢性疾患の有無などが違いに影響してきます。丈夫な体に生まれ、バランスのとれた食事をとりながら規則正しい生活を送り、適度に運動をして、持病もいっさいない人は、その真逆の人に比べ、はるかに疲れにくいです。
脳の疲れの場合は、体質などが原因で違いが生じることはそれほどありません。
脳が疲れやすい人と疲れにくい人を分かつポイントは、「脳を正しく使えているか否か」にあります。
詳しくは後述するように、脳を正しく使えていれば、脳に休息を与えることができるからです。脳疲労がたまりにくい状態、すなわち疲れにくい状態─そういってもいいでしょう。
脳を正しく使うとは、「脳が活性化した状態になりっぱなしならないために、メリハリをつけるように働きかける」ことです。
脳は生命維持のために24時間働き続けているので、意識的にスイッチのオンオフを切り替えることはできません。
しかし、思考の仕方や生活習慣などに工夫を凝らすことにより、脳への負担を和らげ、頭の中をからっぽにする時間を多くつくることならできます。そこに意識を向ければ向けるだけ、脳疲労の蓄積を防ぐことができるのです。








