【おかえりモネ】完結へ...激動の「22週」。ようやくたどり着いた『おかえり、りょーちん』/22週目

毎日の生活にドキドキやわくわく、そしてホロリなど様々な感情を届けてくれるNHK連続テレビ小説(通称朝ドラ)。毎日が発見ネットではエンタメライターの田幸和歌子さんに、楽しみ方や豆知識を語っていただく連載をお届けしています。今週は「完結に向かう22週目」について。あなたはどのように観ましたか?

※本記事にはネタバレが含まれています。

【前回】『ゲゲゲ』布美枝も? 周りの人たちを変えていく「媒介主人公」のあり方/21週目

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清原果耶主演のNHK連続テレビ小説(通称朝ドラ)『おかえりモネ』第22週のサブタイトルは「嵐の気仙沼」。

いよいよ残り3週。

故郷に戻った百音(清原果耶)が気象予報の仕事で地域に貢献することで、震災時に何も出来なかった自分の負い目からようやく解放される展開に入っても良さそうな時期だ。

しかし、ここにきて百音は、地域の人が気象に望むことは何もできないことに悩み、自分の無力さと再び向き合う。

周囲の人が投げかける言葉も、物語の展開も、視聴者の反応も、一見「何もかもうまくいっている」ヒロインに対する風当たりはかなり強い。

一方、この作品の中でも最も深い傷を心に負っているのが、震災で大好きな母(坂井真紀)を失って以来、人を愛することを避けるようになった亮(永瀬廉)だ。

漁師としては中古で自分の船を持とうと懸命に前を向きつつも、今も船に乗ろうとしない父・新次(浅野忠信)とは話ができないまま。

亮に思いを寄せる未知(蒔田彩珠)との関係も曖昧なまま。

しかし、年明け、亮の乗る船は低気圧にはまって動けなくなってしまう。

焦る百音と未知。

そこに亮が無事戻ってきたのだが、亮は未知に対し「みーちゃん、俺大丈夫だから。このまま俺といてもたぶんずっとしんどいだけだよ」と笑顔で壁を作り、未知も「わかった。もう終わりにする」と応じてしまう。

そんな2人を見て慌てる百音は言う。

「りょーちん、笑わなくていいよ。大丈夫って言いながら、本当はなんて思ってたの?」

人の気持ちには敏感なのに、怖がらず遠慮せず、正面から一番繊細な痛みの部分に手を触れる百音はやっぱり"クソ度胸"なのか、KYなのか。

しかし、それによって、亮は闇から引きずり出されるように声を荒げる。

「お前に何がわかる! そう思ってきたよ、ずっと。俺以外の全員に!」。

そして、未知に支えられてきた感謝と自分の弱さ、苦労させ、辛い顔をさせたくないという思いを吐露する。

そんな亮に今度は未知がそっと手を伸ばし、「一緒にいたいってだけじゃダメなの?」と尋ね、ようやく亮は「俺、幸せになってもいいのかな」とその手をつかむのだ。

ある意味、北風と太陽のような姉妹の連携プレイの効果だろうか。

ところで、朝ドラ史上最高傑作と評する人も多い『カーネーション 』において、22週はヒロインが夏木マリにバトンタッチしたタイミング。

また、『あまちゃん』ではアキと鈴鹿ひろ美が映画『潮騒のメモリー~母娘の島』撮影のために"疑似親子生活"をしたり、前髪クネ男が登場したり、「表舞台で活躍することを奪われた」影武者・春子と「歌うことを奪われた」スター・鈴鹿ひろ美とが初対面を果たしたりと、盛り沢山で、一つの完結に向かった週でもあった。

そんな中『おかえりモネ』は、22週にしてようやくたどり着いた「おかえり、りょーちん」。

一つの黒く重い雲が晴れた瞬間だった。

文/田幸和歌子

 

田幸和歌子(たこう・わかこ)
1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経て、フリーランスのライターに。ドラマコラムをweb媒体などで執筆するほか、週刊誌や月刊誌、夕刊紙などで医療、芸能、教育関係の取材や著名人インタビューなどを行う。Yahoo!のエンタメ公式コメンテーター。著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)など。

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