【おかえりモネ】ヒロインの友人枠は「美人」が多い? 同僚の莉子が抱える葛藤の意義/17週目

毎日の生活にドキドキやわくわく、そしてホロリなど様々な感情を届けてくれるNHK連続テレビ小説(通称朝ドラ)。毎日が発見ネットではエンタメライターの田幸和歌子さんに、楽しみ方や豆知識を語っていただく連載をお届けしています。今週は「『おかえりモネ』に見るヒロインの"美人な友人"の存在」について。あなたはどのように観ましたか?
※本記事にはネタバレが含まれています。

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清原果耶主演のNHK連続テレビ小説(通称朝ドラ)『おかえりモネ』第17週のサブタイトルは「わたしたちに出来ること」。

先週、互いの思いが通じ合った百音(清原)と菅波(坂口健太郎)。

小学生レベルからスタートした百音の気象予報士試験のための勉強を、菅波が実に根気強く見てくれていた時期が懐かしい。

2人の関係性はいったい何なのか、視聴者含め、当事者以外がみんな気づいているというもどかしさの末である。

にもかかわらず、登米を訪れ、みんなにサヤカ(夏木マリ)たち森林組合のみんなから祝福されると、「見せつけやりましょうか」という菅波。

先週の突然のハグもだが、今週のこのセリフにも視聴者は大いに悶絶していた。

しかし、つい最近までハイハイしていた赤ん坊が、立ち上がるや否や、全力ダッシュを披露するような急成長ぶりは「恋愛初心者」ならではの浮かれ具合だろうか。

ただし、地域医療に興味がなかった彼が、百音との交流を通して登米の診療所に専念することを決意し、2人はこれから遠距離恋愛となる。

その一方で、仕事に悩みを抱いているのが、莉子(今田美桜)だ。

朝岡(西島秀俊)から気象コーナーのキャスター役を引き継いだが、視聴率が伸び悩み、落ち込んでいるところに、内田(清水尋也)と2人体制になることを告げられる。

それは、内田をキャスターにするのは、朝岡の推薦だというのだ。

朝ドラではヒロインを「平凡ながらみんなに愛される」キャラとする一方、友人枠を「美人」として配置することケースが実に多い。

しかし、ルッキズムの問題が叫ばれる今、本作は莉子が「可愛い」「美人」「華やか」ばかりで評価される苦しみを掘り下げている。

感情表現が薄くのんびりした百音に比べ、感情的になる面はあるものの、自分の気持ちに正直で野心家で努力家の莉子。

その思いや頑張りが見えるからこそ、莉子を応援したくなる視聴者は多く、朝岡の与えた今回の「試練」を機に、莉子を応援する声はさらに強まっている。

特に東京編においては、ある意味主人公的な魅力を放っている。

かと思えば、突然意外な一面を見せたのが、内田と急速に接近している「スーちゃん」(恒松祐里)。

内田を突然「マモちゃん」呼びし、もっさりした服や髪型を変えてキャスターとして登場した姿を見ては「育てたい...」とつぶやく。

百音が周りに変化や成長を促す媒介の役割を担う一方で、周りの女性陣は遠慮なくそれぞれの輝きを放っている。

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文/田幸和歌子

 

田幸和歌子(たこう・わかこ)
1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経て、フリーランスのライターに。ドラマコラムをweb媒体などで執筆するほか、週刊誌や月刊誌、夕刊紙などで医療、芸能、教育関係の取材や著名人インタビューなどを行う。Yahoo!のエンタメ公式コメンテーター。著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)など。

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