一人旅するなら理想の出発日は「次の週末」。旅行作家が考える「来週末の旅行」のメリット

もうすぐ2020年。新しい年を迎えると、何か新しいことを始めたくなりますよね? そこでおすすめしたいのが、大人ならではの「一人旅」。好きなときに、行きたい場所へ、食べたいものを、一人で楽しむ。逆に言えば、とにかく「やりたくないことはやらなくていいという究極の自由さが魅力」だと人気旅行作家・吉田友和さんは言います。そこで、吉田さんの著書『泣かない一人旅』(ワニブックス)から、初めてでもできる「一人旅の楽しみ方とコツ」のエッセンスを連載形式でお届け。2020年は一人で大人の旅に出てみませんか?

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いつなら行ける? 来週末は?

皆さんは、旅行の計画はいつ頃立てるだろうか?

半年も前からあれこれ予約を入れるようなマメな人もいれば、出発直前になってバタバタと手配をする人もいるだろう。

僕自身はどちらかといえば後者である。

「ああ、どこかへ行きたいなあ......」

そんな風にフト思い立ったとしたら、そのまま勢いに乗じて旅立ってしまう。

熱しやすく冷めやすいタイプなので、気持ちが盛り上がっているうちに行く方が上手くいくのだ。

フットワークが軽いですねえ、などと褒められることもあるが、見方によってはただ単に計画性がないのだとも言える。

「直前」がどの程度を指すのかは、人によって感じ方が異なるかもしれない。

具体的に書くと、早くて出発の一ヶ月前である。

遅いときには数日前や、それこそ前日ということもあるが、それらは極端なケース。

平均するとだいたい二週間前ぐらい。

その週の週末ではなく、翌週の週末に向けて旅を計画するイメージである。

実は、この「来週末の旅行」というのは理想的だ。

来週末ならば、現実味のあるスケジュール感で旅を計画できる。近すぎず、遠すぎない未来である。

それなりに日程に余裕はありつつも、旅行に対するモチベーションが下がらない程度には近日と言えるのではないだろうか。

仮に今週末の旅行だとすると、不可能ではないとしても、それなりに慌ただしい出発となる。

すぐに行きたいのはやまやまながら、できればもう少し準備期間がほしい。

平日は忙しくて旅の計画なんて立てられない人でも、来週末の出発ならば、それまでに週末を一度挟むため、心理的にも余裕が生まれるはずだ。これが結構大きい。

「計画はいつ頃立てるだろうか?」という冒頭の質問は、「いつなら行けるだろうか?」と言い換えてもいい。

旅は行きたいときが行きどきであり、同時に、行けるときも行きどきである。

旅をするなら、来週末がちょうどいい。

一週間前ならまだまだ間に合う

来週末に旅行をしようと決めたとする。

続いて交通機関や宿をどうするかなど、具体的に計画を練ることになる。

何曜日に決めたかにもよるが、少なくとも一週間以上はまだ猶予がある。

この一週間以上前というところが大きなポイントだ。

旅行を手配するにあたって、一週間前ならばまだまだ十分に間に合うからだ。

たとえばパッケージツアーに申し込むとして、飛行機利用のツアーでは多くの場合、出発七日前まで受付可能となっている点に注目したい。

土曜に出発するとしたら、前週の土曜まではギリギリ申し込みができる計算である。

それを過ぎると、もう申し込み自体不可能。

つまり、「今週末の旅行」になると間に合わないというわけだ。

7日前というのはJALやANAの規定で、旅行会社にかかわらず一律でそのように決まっている。

以前は10日前までだったのだが、2014年4月に規定が変更され7日前までとなった経緯がある。

利用者からすれば、緩和措置と言えるだろう。

ただ、これはあくまでもJALとANAを利用するパッケージツアーの話だ。

2社以外の航空会社では、期限がもう少しゆるい。

近年はLCC(格安航空会社)が普及したことで、JALやANA以外の空路の選択肢も増えている。

さらには、列車やバスといった航空便以外の交通手段を利用するツアーだとギリギリでも間に合う。

もちろん、パッケージツアーを選択肢から除外するのであれば、7日前までという縛りはなくなる。

JALやANAを利用するとしても、航空便とホテルを自由に選択するダイナミックパッケージなどでは7日前の規定は適用されない。

ほかにも、ためたマイルで特典航空券に換える場合、以前は4日前が期限だったルールが2018年より変更され、出発前日でも申し込めるようになった。

今週末はじっくり作戦を練る

スマホが普及して以来、ちょっとした空き時間にネットで旅のあれこれを調べられるようになった。

たとえば、通勤電車の中で航空券の値段や空き状況を確認したり、自宅のソファでゴロンと横になりながら宿のクチコミ情報をチェックしたり。

もちろん、いい条件のものが見つかったらそのまま予約も入れられる。

いつでもどこでも気軽に旅の構想を練られるわけだ。

とはいえ、実際に旅へ出るとなると、決めるべきことは案外多い。

平日の空き時間にひとまずリサーチを進めつつも、最終的には休日に腰を落ち着けてじっくり検討したい、という人も多いのではないだろうか。

来週末の旅行だとしたら、その一週間前、すなわち今週末は作戦を練る時間にするといい。

前述した通り、一週間前ならまだ選択肢はたくさん残っている。

予約サイトによっては「直前予約」と称して、キャンセル分などが割安な料金で売り出されることもある。

出遅れたとしても、あきらめるのは早計だ。

ちなみに、「計画」ではなく「作戦」と書いたのには意図がある。

旅にはどこか攻略するような要素が含まれるから、自分としてはその方がしっくりくるのだ。いわば、一人作戦会議である。

交通機関や宿の予約はすでに済ませていたとしても、当日に立ち寄りたいスポットをピックアップしたり、ランチをどこで食べるかなど具体的な行動プランを考えてみる。

休日らしくお酒でも飲みながら考える、なんてのも楽しそうだ。

さらには旅の持ち物で必要なものが判明した場合でも、まだ猶予がある。

この週末を利用して、買い物をしに出かけるのもいいだろう。

一週間前というのは、旅の準備をするのにもいいタイミングなのだ。

「来週末の旅行」がますます好都合なものに思えてくる。

いくつになっても旅行は楽しい「泣かない一人旅」記事リストはこちら!

一人旅するなら理想の出発日は「次の週末」。旅行作家が考える「来週末の旅行」のメリット 泣かない一人旅.jpg旅の心得や楽しみ方、交通手段や宿の探し方まで、全10章で一人旅に必要な全てを解説。一人旅でなくても、プロが旅立つ前にする下準備は、とても参考になります

 

吉田友和(よしだ・ともかず)

千葉県生まれ。旅行作家。出版社勤務を経て、2002年初海外旅行ながら夫婦で世界一周を敢行。2005年に旅行作家として本格的に活動開始。主な著書に、『はじめての世界一周』(PHP研究所)、『自分を探さない旅』(平凡社)、『3日もあれば海外旅行』(光文社新書)、『東京発 半日旅』(ワニブックスPLUS新書)など。滝藤賢一主演でドラマ化された『ハノイ発夜行バス、南下してホーチミン』(幻冬舎文庫)も話題に。

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『泣かない一人旅―はじめてでも失敗しない、最高に楽しい―』

(吉田友和/ワニブックス)

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※この記事は『泣かない一人旅―はじめてでも失敗しない、最高に楽しい―』(吉田友和/ワニブックス)からの抜粋です。
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