偉人の失敗伝【Apple創立者/スティーブ・ジョブズ】人に厳しくし過ぎて会社を追い出されたら...

仕事や子育てもひと段落したけど、新しく何かにチャレンジすることをためらってはいませんか?そんな人に向けて、『失敗図鑑 すごい人ほどダメだった!』(大野正人/文響社)から、誰もが知る偉人たちの大失敗エピソードをお届け。歴史に名を残す偉人の驚くべき逸話が、あなたの人生の「新しい発見」を後押ししてくれるはずです。

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いばしょを失う


【人物】スティーブ・ジョブズ
【出身地】アメリカ
【どんなことをした人?】アップル社をつくった


下にある、時代を変えた大ヒット商品の数々。

1977年【appleⅡ発売】
1984年【Macintosh(マッキントッシュ)発売】
1998年【iMac(アイマック)発売】
2001年【iPod(アイポッド)発売】
2007年【iPhone(アイフォーン)発売】

これらすべてにかかわっているのが、スティーブ・ジョブズです。でも、ジョブズが作ったわけではありません。悪い言い方をすれば、作っている人に「もっとこうしたほうがいい」と横から口をはさむだけ。

しかも、これらの商品は、とくに新しかったわけではなく、にたような商品が、すでにいくつも出ていました。それなのに、ジョブズがかかわると、たちまち世界的ヒット商品になってしまうのです。

そのひみつは、強いこだわり。ジョブズは、てっていてきに、使いやすさとデザインにこだわりました。自分が気にいった形になるまで、何度も何度も作り直させることは当たり前。作っている人に対して、ものすごくひどい言葉をぶつけることもしょっちゅうでした。

でも、こうして、こだわりぬいて生まれた商品だからこそ、世界中で愛されたのです。

こだわりの偉人、スティーブ・ジョブズ。でも、そのこだわりによって、ジョブズは大きな失敗をけいけんすることになります。

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なんと、ジョブズは自分で作った会社を追い出されてしまったのです!ジョブズの会社「Apple Computer」は、AppleⅡが売れたことで、どんどん大きくなりましたが、Macintoshを出した次の年、たいへんなじたいにおちいってしまいました。Macintoshは、最初こそたくさん売れたので、どんどん作ったところ、すぐに売れなくなり、会社の売り上げがドーンと落ちてしまったのです。

経営者たちはおおあわて。そして、売り上げが落ちたことを、みんなジョブズのせいにしました。

「経営が悪くなったのは、君のせいだ。君はわがまますぎる。そして、口の悪さで社員たちの心をきずつける。だから、出て行ってくれないか」

ジョブズはたしかに、まわりの人と仲良くするという考えがありませんでした。それでも、会社がもうかっていればよかったのですが、この時は、何かしなければ会社があぶない。

こうなると、経営者たちの目には、平気で人の悪口を言い、何度も作り直しをして商品をなかなか売り出せなくするジョブズのふるまいは、会社にとって悪いことのように見えてしかたなかったのです。

ジョブズは、もちろん会社の中で一番エライ人でしたが、だからといって何でも思い通りになるわけではありません。経営者全員から「出て行け」と言われたら、出て行くしかないのです......。

どれほど人とぶつかっても、落ちこむことなんてなかったジョブズでしたが、このときばかりは、絶望的な気分になったようです。

しかし、ジョブズは、それで終わるような人間ではありません。

「まわりの連中がバカなのが悪い」

自分ではなく、まわりが悪いと考えたジョブズは、新たにパソコンの会社を作り、アニメーションの会社を買い取りました。このアニメーションの会社が、後にアニメ作りにかくめいをもたらすことになり、ジョブズは見事、ふっかつしたのです。

一方、ジョブズを追い出したAppleは、その後も売り上げがもどるどころか、どんどん下がり続けました。このままでは会社がつぶれてしまう。そこで、Appleが取った最後のしゅだんは、なんとジョブズが新たに作ったパソコンの会社を買い取り、ジョブズをふたたびAppleの経営者にするというものでした。

Appleにもどったジョブズは、会社の経営者のほとんどを追い出し、ふたたび、てっていてきに商品を作りこみました。

こうしてできたのが、iMac、iPod、iPhone。そして、ジョブズはこれらの商品でふたたび、世界を変えていったのです。

人からどう思われようと、言いたいことは言う。それでいばしょを追われても、自分を変えることはなかったジョブズ。その結果、大きな成功を手に入れたのですが、こんなことは、ふつうの人にはなかなかできることではありません。そのため、ジョブズの失敗から学べることは、少ないかもしれません。

それでも、ひとつだけ、かれの人生から学べることがあります。ジョブズは、自分の会社を追い出された後、すぐに新しい会社を作りました。

もしかしたら、これから小さな失敗でいばしょを無くしてしまうことがあるかもしれません。そのときは、失ったいばしょをいつまでも見つめたりせず、新しくいばしょを作るようにしましょう。

もちろん、ジョブズのように新しい会社を自分で作るなんてことは、かんたんにはできませんが、きょうみのあるクラブに参加したり、習い事を始めたりすることで、新しいいばしょは、意外とかんたんに見つかるものです。

イラスト/死後くん

すごい人ほどすごいダメだった!「失敗図鑑」記事リストはこちら!

偉人の失敗伝【Apple創立者/スティーブ・ジョブズ】人に厳しくし過ぎて会社を追い出されたら... 034-shippai.jpgベートーヴェンからスティーブ・ジョブズまで、世界の偉人23人の失敗がポップなイラストと一緒に紹介されています

 

大野正人(おおの・まさと)

1972年、東京都生まれ。文筆家。絵本作家。『こころのふしぎなぜ?どうして?』(高橋書店)を含む「楽しく学べるシリーズ」は累計200万部を突破。著書に絵本『夢はどうしてかなわないの?』『命はどうしてたいせつなの?』(汐文社)、『一日がしあわせになる朝ごはん』(文響社)など。

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『失敗図鑑 すごい人ほどダメだった!』

(大野正人/文響社)

手塚治虫に黒澤明、オードリー・ヘプバーンやケンタッキーのあの人まで、みんな失敗したからこそ有名になった!?歴史に名を残す23の偉人がおかした、目を覆いたくなるような大失敗図鑑。子ども向けに分かりやすい文章と面白いイラストでまとめられていますが、新たな挑戦に憶病になった大人こそ読みたい一冊です。

※この記事は『失敗図鑑 すごい人ほどダメだった!』(大野正人/文響社)からの抜粋です。

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