押しも押されもせぬ演歌の大歌手である小林幸子さんが、演歌とは無縁そうな若い世代に大人気なのをご存知でしょうか? スマートフォンのゲーム「テクテクテクテク」のキャラクターやネットでの活躍も話題の小林さんに、その好奇心の源をお聞きしました。
若い世代に「ラスボス」と呼ばれ、大人気の小林さん。「ラスボス」とは、テレビゲームで最後に満を持して出てくる最強の敵のこと。紅白歌合戦で大きく煌(きら)びやかな衣装で登場する小林さんのことを、インターネットに親しむ人たちは約20年も前から「ラスボス」と呼んでいたそうです。
「そうなんです、私の知らないところで(笑)。ニコニコ動画(インターネットで視聴ができる動画共有サービス。さまざまなイベントも開催)というインターネットの生放送をしたときに、幸子さんをラスボスって呼んでいいですかと聞かれて、言葉の意味も知らないままに『はい、どうぞ!』って許可しちゃったんです(笑)。
いまじゃラスボスで検索すると小林幸子って出る(笑)。そして今度は『テクテクテクテク』というゲームにも登場して。大きいんですよ、これがまた(笑)。でもこういう形で楽しんでもらえてるならいいなぁって思っているんです」
テクテクテクテクでビルの間から突如出現する小林幸子さん。まさに最強の敵(ラストボス)です。
小林さんがこれまでのキャリアとは別の新しい世界に活躍の場を広げるようになったのは還暦を目前にした年齢でした。
「すごく勇気がありますね、って皆さんに言われますけど、すごく面白かったんですよ。例えばボカロ曲(ボーカロイドという音声合成技術で作った歌声で作成した楽曲"ボーカロイド曲"のこと)というコンピューター上で作った曲を歌ってるんですが、普通の歌ではあり得ない音域だったり、息継ぎする場所がなかったりするんです。コンピューターだから息継ぎがいらないんですね(笑)。
そうなると、機械に負けないぞ!って一つずつ克服できたら快感になって。50年歌ってきた中で使ったことのない細胞があることも発見したんです」
同世代の人が苦手とするようなジャンルでイキイキと活躍する小林さん。その背中を押してくれるのは大好きな言葉です。
「『思い込みを捨て、思いつきを拾う』。主人が教えてくれた言葉なんですけど、いいなぁと思って。演歌歌手だからとか、何十年もこうやってきたからという思い込みに縛られていたら、私もきっとニコニコ動画もボカロ曲もテクテクテクテクもやってないですよ。人と出会った瞬間にまた違う人と出会うチャンスが生まれる、その繰り返しでいまここにいる。だから、いまは大きな目標も持たないようにしているんです。
ゴールを決めず、この先どんなふうになるか分からない方が楽しくないですか? 嫌になったらやめればいいんだもの、ならやってみましょうよ。何かに夢中になっている姿は本当にすてきだし、新しいことに挑戦しながらいまをハツラツと生きている人はみんな若いですよね」
デビューして55年。なんとこれまでに一度も仕事を休んだことがないそうです! その健康管理の源はひとえに小まめな検診。自称・健康オタクだそうです。でもお酒も食事も制限なく好きなものをたっぷり摂ります。
「芸能人が若くいる秘訣は人に見られることなんです。だから皆さんも、鏡を見て、お化粧をして、外に出ましょう! キレイな色の服を着たり、マニキュアをつけるのもいいですね。おしゃれしてわくわくすることってとっても大事。一日中パジャマでいちゃダメですよ(笑)」
芸能生活55周年記念曲第1弾
『ポーカーフェイスにさよなら』好評発売中
芸能生活55周年の記念第一弾は、今回が初コラボとなる湯川れい子さんの作詞です。スパニッシュやタンゴをイメージさせる王道歌謡曲の中に、芯が強くてカッコイイ女性の世界が描き出されています。スーパー銭湯アイドル「純烈」も登場するドラマティックなミュージックビデオも必見です。カップリング曲は、小林幸子さん作詞・作曲の「イチマディン」のセルフカバーです。
CDMS YZYM-15079
1,204円+税
販売元/クラウン徳間ミュージック販売
「テクテクテクテク」って何?
スマートフォンに無料で機能(アプリ)を入れて遊べる人気ゲームです。スマホとともに歩くと、歩いた実際の場所の地図を塗ることができます。どんどん歩いて塗ってエリアを拡大して楽しんだり、次々と現れるモンスターとの戦いに挑戦したり、テクテクと歩いて遊ぶゲームです。街にはゴジラなど巨大キャラクターも登場。なんと巨大な小林幸子さんも現れ、目から「さち光(こう)」ビームを発射します!
取材・文/鹿住恭子