阿川佐和子さん「人生の転換期が少なかった私。60歳になったときはえ~⁉って思いました」

1806p070_01.jpgテレビ番組で、週刊誌のインタビュー連載で、視聴者や読者がいままさに聞きたいと思っていることをズバリと斬り込んでくれる、作家・阿川佐和子さん。切っ先鋭い発言でもこわもての人たちがどこか緩んだ表情を見せるのが、阿川さんの魅力であり、スゴイところです。現在64歳。ずっと変わらず若くお美しく、なによりチャーミング! ドラマ「正義のセ」の原作者でもある阿川さんに、お話を伺いました。

 

私は人生の転換期が限りなく少ないんです(笑)

「若くなんかないですよぉ。肌はカサコソするしね。還暦もはるかに過ぎましたし。私の頃は"ことし60のおじいさん~♪"(童謡『船頭さん』)って歌って育ちましたからね。60歳はおじいさんおばあさんだと(笑)。自分が60歳になったときは『え~!?』って思いましたね。

ただ、人間って置かれる場所によって年齢の色が違うなぁと思っていて。特に女性は、娘が妻になって母になってという人生の転換期ごとに立ち位置が変わるでしょ。父親という大黒柱のもとで育っていたのが、亭主に寄り添うようになると考え方も生き方も変わってくるし、親になればいつまでも娘ではいられなくなる。自分の親が弱ってくると、今度は親子が逆転したような関係にもなってくる。そういう転換期を何度も経験して、年を重ねていくんですけど、私はその転換期が限りなく少ないんですよね(笑)。

だからついこの間までずっと娘が続いていた。会社勤めしていれば、部下ができたりして年齢や立場を自覚するんでしょうけどそれもなく。仕事で経験を積んでいっていても家に帰れば娘。娘という感覚がずっと抜けないから、年齢意識は薄いのかもしれないですね。ただ、年齢による経年疲労は変わりませんからね(笑)」

 

互いに尊重し合いましょう、みたいな結婚生活です

そんな阿川さんは昨年結婚され、人生の転換期を1つ増やされました。
「60歳半ばでの結婚は、ある程度人生のペースができあがってからだから、お互いに尊重し合いましょうみたいな結婚ですね。そういう意味では自由。20代の頃には思ってもいなかった形の結婚をすることになってしまいましたが(笑)。若い頃は専業主婦願望が強かったんです。いい旦那さんを見つけて、その旦那さんの経済力のもとに子供を育てたりご飯をつくったり、ちょこっと好きなことをするのが身の丈に合っているとずっと思い込んでいました。それと、自分の人生を転換できるのが結婚だと思っていたんですね。例えば商社マンと結婚したらニューヨーク生活が5年できるわ、とか(笑)。

30歳になる直前にたまたまテレビに出るようになって、インタビューなどの仕事が増えていったんですが、10年くらいは、これは仮の姿なんだ、いい旦那さんを探すための場なんだ、と中途半端な感じでしたね。でも仕事を続けていく中で、自分を評価してくれる場所があるというのがどれほど幸せかと思ったときに、もし結婚しても仕事はやめたくないなぁと思うようになっていましたね」

そんな阿川さんが著した『正義のセ』が吉高由里子さん主演でドラマ化されました。若き女性検察官のお仕事小説であり、成長物語です。

「豆腐屋さんで育った子が検事という職業を選んで、闘いながら成長していく物語です。以前、ゴルフを一緒にまわった女性が検察官だったんですよ。ドラマだと検事さんが悪役として描かれることが圧倒的に多いでしょ? でも検事には検事の正義があるということを彼女と出会ったことで知って。若い人たちの心にも引っかかったらいいなと思って書きました。

吉高さんはすてきな人で、奇麗なだけでなく声に色があるの。今回演じてもらえて本当に光栄です。吉高さんとしばらくおしゃべりすると、顔や肌はこういうもんだって脳にインプットされちゃうらしい。それであとで鏡を見るとびっくり、ギャー、シワシワだあって(笑)」

 

いろんな世代の友達がきっと宝物になります

ここ数年シクラメンを育てているという阿川さん。シクラメンの生涯に人生を重ねます。

「咲きたての花はかれんでピチピチしていて12歳の少女みたい。それが熟してくるとしょぼくれてきて、シミとかシワとかいっぱい出てきて。あ、これがいまの私? とか思うわけ(笑)。でも花はその生涯を全うして、文句も言わず抜かれていくわけじゃない? こういうのって大事だなって思うの(笑)。

うちの父は94歳まで生きたんですけど、大事に思っていた同年代の人が次々に亡くなっていくのをすごく苦にしていた。誰もいなくなったと思うんでしょう。そういう父を見ていて気付いたんです。同世代としか付き合っていないといきなりみんないなくなっちゃうんだなと。そういう意味ではいろんな世代に友達がいるのは大事かなと思いますね。

息子や孫の友達でもいい。いろんな世代と同等に付き合う。同等っていうのが大事ね。うつうつとしたら、違う世代の人と、理解できないなぁとか思いながらでも付き合ってみる。尊敬できるとこが時々見つかったりね。きっと宝物になると思いますよ。でもまぁ死ぬときは死ぬからしょうがない、それはシクラメンと同じですよ(笑)」

 

 

ドラマ原作本
『正義のセ』シリーズ(角川文庫)
著・阿川佐和子

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『正義のセ 1 ユウズウキカンチンで何が悪い!』600円+税

 

最新刊

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『正義のセ 4 負けっぱなしで終わるもんか!』760円+税

 

構成/吹春規子 取材・文/鹿住恭子 撮影/吉原朱美 ヘアメイク/大島知佳(reve) スタイリスト/中村抽里 衣装協力/ワンピース:クチーナ、ジュエリー:1DKジュエリーワークス、ドレスアンレーヴ

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阿川佐和子あがわ・さわこ)さん

1953年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒。エッセイスト、小説家などマルチに活躍。99年に檀ふみ氏との往復エッセイ『ああ言えばこう食う』で講談社エッセイ賞を皮切りに、数々の賞を受賞。12年刊行の『聞く力 心をひらく35のヒント』は170万部突破の大ベストセラーに。

正義のセ(放送終了)

日本テレビ系
出演:吉高由里子、安田 顕、三浦翔平、広瀬アリス、大野拓朗、塚地武雅、宮崎美子、寺脇康文、生瀬勝久 他 
主題歌:福山雅治「失敗学」(アミューズ/ユニバーサルJ )

あらすじ●横浜地検で働く新米検事の凜々子(吉高由里子)。持ち前の正義感で突っ走り、担当事務官の相原(安田顕)を振り回しがち。困難な事件も納得いくまで諦めず、仲間や家族に支えられながら日々頑張っている。

この記事は『毎日が発見』2018年6月号に掲載の情報です。
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