【名画のひみつ】圧倒的な迫力! 北斎の最高傑作「神奈川沖浪裏」を解説

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『名画のひみつがぜんぶわかる! すごすぎる絵画の図鑑』 (著:青い日記帳、監修:川瀬佑介/KADOKAWA)第4回【全5回】

ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』や葛飾北斎の『神奈川沖浪裏』、ゴッホの『ひまわり』といえば、誰もが知っている「名画」ですよね? でも、「名画がなぜ名画と呼ばれるのか?」は、意外に知られていないかもしれません。 「名画とは、その時代に誰も知らなかった方法やテーマで世の中を驚かせた作品を意味します」と話すのは、1年に300以上の美術展に足を運び、ブログやSNSでレビューを行う青い日記帳さん。 その著書『名画のひみつがぜんぶわかる! すごすぎる絵画の図鑑(KADOKAWA)は、青い日記帳さんの解説とともに、時代背景や画家の知られざるエピソードをふまえて名画をじっくり楽しめる1冊です。

※本記事は著/青い日記帳、監修/川瀬佑介の書籍『名画のひみつがぜんぶわかる! すごすぎる絵画の図鑑』から一部抜粋・編集しました。

富士山オタク!? が引き出した魅力 葛飾北斎『神奈川沖浪裏』

ざばーんという音が聞こえてきそうな大波。奥には、ちょこんと姿を現す富士山が。動きのある波と静かな山、そして近景と遠景という、二つの対比が一枚の絵の中に描かれています。

『神奈川沖浪裏』は、浮世絵『冨嶽三十六景』48枚シリーズの一枚。日本のパスポートにもあしらわれているほか、海外では『The Great Wave』の名で知られます。

この作品のすごさは、構図にあります。高く波立った瞬間を切り取り、船に襲いかかるようなダイナミックな波を主役にしたこと。見た人にアッと思わせるその独自性は北斎のほかの作品にも共通します。さらに、建物や水平線などの直線と、丸い桶やたなびく雲などの曲線を組み合わせることで、それぞれの線を引き立て合うというテクニックなどが使われています。

圧倒的な迫力! 北斎の最高傑作

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タイトルから、東海道の宿場町・神奈川の沖合である東京湾の風景を描いたと考えられます。波にもまれる船は、当時、房総半島や伊豆方面から江戸へ物品を運んでいたと考えられます。
『富嶽三十六景・神奈川沖浪裏』1830~1832年頃/メトロポリタン美術館(アメリカ、ニューヨーク)

波の描写がまだつたない北斎初期の作品

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『神奈川沖浪裏』の20年以上前に描かれたのがこの作品。ほぼ同じ場所を描いていますが、構図や波の描き方がまったく違うことに驚きます。北斎の技術の進歩が比較できる作品です。
『賀奈川沖本杢之図』1804~1807年頃/個人蔵

【豆知識】
『神奈川沖浪裏』の波の表現は、行元寺(千葉県いすみ市)に残る欄間彫刻から影響を受けたのでは? という説があります。その欄間彫刻は、「波の伊八」こと武志伊八郎信由の代表作『波に宝珠』です。

 
※本記事は著/青い日記帳、監修/川瀬佑介の書籍『名画のひみつがぜんぶわかる! すごすぎる絵画の図鑑』から一部抜粋・編集しました。
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