『名画のひみつがぜんぶわかる! すごすぎる絵画の図鑑』 (著:青い日記帳、監修:川瀬佑介/KADOKAWA)第5回【全5回】
ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』や葛飾北斎の『神奈川沖浪裏』、ゴッホの『ひまわり』といえば、誰もが知っている「名画」ですよね? でも、「名画がなぜ名画と呼ばれるのか?」は、意外に知られていないかもしれません。 「名画とは、その時代に誰も知らなかった方法やテーマで世の中を驚かせた作品を意味します」と話すのは、1年に300以上の美術展に足を運び、ブログやSNSでレビューを行う青い日記帳さん。 その著書『名画のひみつがぜんぶわかる! すごすぎる絵画の図鑑』(KADOKAWA)は、青い日記帳さんの解説とともに、時代背景や画家の知られざるエピソードをふまえて名画をじっくり楽しめる1冊です。
※本記事は著/青い日記帳、監修/川瀬佑介の書籍『名画のひみつがぜんぶわかる! すごすぎる絵画の図鑑』から一部抜粋・編集しました。
ドラマチックな人生だから描けた、ゴッホ『ひまわり』
死後有名になった画家の一人が、フィンセント・ファン・ゴッホです。
有名になった理由の一つがドラマチックな人生にあります。失恋して生涯独身、職を転々とした後に画家になり、絵画制作をがんばったものの精神を病み、死んでしまう。今では有名な画家ですが、気性が激しいために波瀾万丈な生涯を送りました。
そんなゴッホの代表作が、7点描かれた『ひまわり』です。精神を病んで、光あふれる南仏へ移住後、画家仲間との共同生活を計画していたゴッホ。後から来る仲間の到着を待ちながら、幸せな気持ちで描いたのが『ひまわり』でした。暗い色調の作品も多いゴッホですが、この作品は当時の幸せな気持ちを表すように明るい色合いです。しかし共同生活はうまくいかず、ゴッホは耳を切り落とす事件を起こしてしまう。それを知ると悲しい絵にも見えます。
つらいことが多くありながらも絵画を描き続けたゴッホの絵は、現在では数十億円もの高値で取引されるようになりました。
ゴッホの幸せな気持ちがあふれた名作
7作の中でもゴッホお気に入りの一枚
7つの作品の中でも最も有名な作品で、15本のひまわりが描かれています。共同生活していたゴーギャンも欲しがりましたが、ゴッホ自身も最も気に入っていて手元に置いていました。
『ひまわり』1888年/ロンドン・ナショナル・ギャラリー(イギリス、ロンドン)
薄いブルーの背景が美しい第一作目
ゴッホ本人も満足していたよい出来だったとされる作品。
『ひまわり』1888年/ノイエ·ピナコテーク(ドイツ、ミュンヘン)
ゴッホのひまわりは日本にもある
1987年にオークションで落札されて日本に来た、身近な作品です。
『ひまわり』1888年/ SOMPO美術館(日本、東京)
【豆知識】
SOMPO美術館所蔵の『ひまわり』は、1987年に約58億円で落札されたものです。当時のオークション史上最高額であり、1枚の絵の売買価格としても最高額だったため、大きな話題となりました。