無洗米はなぜ米を洗わなくてもいいのか?/身のまわりのモノの技術(24)【連載】

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古来、日本人の習慣として、米を炊く前にまず研いでいた。しかし近年、研がなくてもいい無洗米が市販され、人気を博している。忙しい現代人にはたいへんありがたい商品だ。

無洗米の製法を理解するには、米が精米される過程を知っておく必要がある。まず、稲から刈り取られて脱穀された籾からはじめよう。籾から殻を剥がし、中身を取り出すことを「籾摺り」と呼ぶ。取り出された中身が玄米だ。玄米は栄養価が高く、そのままでも炊いて食べられるが、通常はさらに表面からを剥がして白米にする。この過程を精米と呼ぶ。この白米が米穀店やスーパーなどで売られる普通の米だ。

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白米も、玄米と同様にそのまま炊いても食べられるが、白米に残っている糠成分(肌糠)を剥がすとさらにおいしく炊けるようになる。この「肌糠剥がし」の過程が「米を研ぐ」という行為なのである。無洗米は、白米に着いた肌糠をあらかじめ剥がしておくことで、私たちが「米を研ぐ」手間を省いてくれているのだ。では、どうやって剥がすのだろうか。

いくつもの方法が開発されているが、ここでは大きなシェアを占めている「BG精米製法」を紹介しよう。これは糠で糠を削り取る方法で、「糠と糠、そして糠と金属が付着しやすい」という性質を巧みに利用している。

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しくみはそれほど複雑ではない。白米をステンレス製の筒内に入れて攪拌しているのだ。白米が攪拌されると、肌糠がステンレス壁に付着する。この付着した肌糠に他の米粒の肌糠が次々と付着し、ほとんどの肌糠が米から分離されるのである。

ちなみに、玄米を白米にする精米機も似たしくみを利用している。精米機の中で玄米同士をすり合わせ、その摩擦で糠をこすり取っているのだ。

無洗米というネーミングに「米は『研ぐ』ものであって『洗う』ものではない」と異議を唱える人も多い。現在では、「米を洗う」と言う人も増えており、どちらを使っても許されるようだ。

涌井 良幸(わくい よしゆき)
1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。現在は高校の数学教諭を務める傍ら、コンピュータを活用した教育法や統計学の研究を行なっている。
涌井 貞美(わくい さだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程を修了後、 富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校の教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。

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「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」
(涌井良幸 涌井貞美/KADOKAWA)
家電からハイテク機器、乗り物、さらには家庭用品まで、私たちが日頃よく使っているモノの技術に関する素朴な疑問を、図解とともにわかりやすく解説している「雑学科学読本」です。

この記事は書籍「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」(KADOKAWA)からの抜粋です。
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