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血液型性格診断は根拠のないエセ科学!?
血液型で性格がわかるという考え方は、世界でも日本や韓国など、ごく一部の国や地域でしか通用しない。じつは血液型性格診断を世界で初めて提唱したのは日本人で、古川竹二(ふるかわたけじ)という教育学者である。
1927年、古川は、自らが教授を務めていた東京女子高等師範学校(現在のお茶の水女子大学)で、「血液型による気質の研究」と題した論文を発表する。A型は引っ込み思案、B型は陽気といったように、血液型によって気質を類型化できることを心理学的な見地から述べたこの論文は、発表当初、血液型研究の第一人者として知られていた古畑種基(ふるはたたねもと)博士から支持されたこともあって、大きな反響を呼ぶ。
こうした古川による「血液型気質相関説」は、海外の学術雑誌にも発表されたが、日本のような反響を呼ぶことはなかった。日本でも一時的にブームとなったが、その後、さまざまな矛盾が指摘されるようになっていく。
実際、古川が行なった研究ではサンプル数が300人ほどと、統計的なデータを検出するには十分な人数とはいえない。加えて、気質や性格を自己申告させる手法も厳密さを欠いていた。ほかの研究者による再検証でも、明らかな相関が確認できなかったため、学問的には忘れられていった。
ところが1970年代の後半になると、血液型気質相関説は再び脚光を浴びる。放送作家の能見正比古(のみまさひこ)が、血液型気質相関説を血液型性格分類という占いに脚色して発表すると、マスコミがこれに便乗。その結果、科学的な根拠のないニセ科学でありながら、広く信じられるようになってしまったのである。