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「エルニーニョ」「ラニーニャ」はいったいどんな現象なのか
ニュースで、「エルニーニョ現象」という言葉を聞くことがあるが、これはどんな現象なのか。日本にも何か影響があるのだろうか。
エルニーニョ現象とは、南米ペルーの海面の水温が例年より高くなり、それが1年ほど続く現象である。1997年に発生したエルニーニョ現象では、海面水温が4℃以上も上がった地域もあった。
ふだん、この海域は東から吹く貿易風の影響で海流が東から西へ流れ、そこに深層の冷水がわき上がってきている。深層水は栄養分に富み、あたりはカタクチイワシなどの豊かな漁場となっている。ところが貿易風が弱まると、暖かい海水が表層に居座ったような状態になり、いつもの年のような魚やプランクトンが集まらず、漁獲量が激減する。「エルニーニョ」とは、スペイン語で男の子またはイエス・キリストを意味する。漁師たちは、この現象がクリスマスの頃に発生することが多いためエルニーニョと呼び、それが名称として定着した。
これとは逆に、貿易風が強まり、エルニーニョ現象と同じ海域の海面水温が低くなるのが「ラニーニャ現象」である。「ラニーニャ」とはスペイン語で女の子という意味で、エルニーニョ現象ほど顕著ではないが、やはり気象の一時的な変化を招く。
貿易風が強くなったり弱くなったりするきっかけは何なのか、エルニーニョとラニーニャはなぜ起こるのか、いずれも不明である。かつては、エルニーニョもラニーニャも異常気象だと考えられていたが、最近では交互に起こる周期的な現象だとわかってきた。
エルニーニョ現象が起こると日本は冷夏や暖冬となり、ラニーニャ現象のときは猛暑や厳冬になるといわれている。しかし、その関連性は今のところよくわかっていない。
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『人類なら知っておきたい 地球の雑学』
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