野山や庭に花の色があふれ出す4月。『毎日が発見』本誌連載「明日へ」でおなじみのガーデナー・水谷昭美さんのお宅におじゃましました。「春が来たから、食べようね」と、そんな言葉で誘われたきれいな春色ご飯をご紹介します。今回は山椒のおもてなしレシピです。
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ああ、深呼吸したくなる! この香りを待っていました
『山椒』
水谷さん家の裏庭にある山椒の木。何年も前に植えた苗が知らぬ間に育って、惜しみなく芽吹きたての新芽を摘めるまでに成長しました。
「山椒の魅力は、何といってもすーっと鼻にぬけるような香りですよね。私たち日本人が昔から親しんできた、和製のハーブ。うなぎや汁ものにふりかけて使われることが多いけれど、それ以外の使い方をしてみたくてひと工夫しました。自信作です!」
食卓には、まず小さな葉が浮かんだグラスが運ばれてきました。
「ほら、氷の中に閉じ込めてみたの。口いっぱいに春の息吹があふれて、気持ちがすっきりします。見た目の涼やかさもいいでしょ?」
裏庭に顔を出した新芽。摘めば、指先にもさわやかな香りが移ります。
カランコロン...心地いい音が響きます
「山椒氷水」
作り方
1. 容器に水と山椒の枝を入れ、冷凍庫で凍らせて大きな山椒氷を作る。
2. 山椒氷をグラスに入れて、水を注ぐ。
もう1品は「たけのこといかの山椒あえ」。料理にかかっている淡い緑色のソ-スは、採れたての山椒で作ったもの。山椒の葉をすり鉢ですり、最強みそや酢、砂糖を加えたものです。
「酢を除いた材料を合わせたものは、パスタに絡めたり、そうめんのつゆに入れたりてしてもおいしいの。カリカリに焼いたパンにつけてもいけますから、試してみてくださいね」
山椒の葉をすり鉢ですりすり
「たけのこといかの山椒あえ」
作り方
1. まず山椒ペーストを作る。山椒の葉をすり鉢ですり、西京みそ、酢、砂糖少々(2:1:0.3)を加えてさらにすり、味をなじませる。調味料の分量は好みで調節を。
2. ゆでたたけのこは食べやすい大きさのさいの目切る。甲いかは表面に縦横に包丁を入れ、たけのことサイズを合わせて四角く切ってから、さっとゆでる。
3. 2を1であえる。時間が経つと緑色が変色するので食べきれる分だけ作る。
たけのこはゆでたあと、水にさらします。
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水谷昭美(みずたに・あきみ)さん
小さな庭に花を咲かせて40年。植物を育てるだけでなく、バラのつるが絡まるアーチや水色の扉も手作り。季節の廻りを感じる暮らしを楽しんでいる。春は庭に咲いた花や実った野菜を料理するのが恒例。