4月6日から上演の舞台『カラカラ天気と五人の紳士』に出演の藤井隆さん。舞台俳優としてもキャリアが長いですが、今回のお話は懸賞で当たった「棺桶」をめぐる5人の紳士たちの物語。公演を前にして今の気持ちをうかがいました。
※この記事は月刊誌『毎日が発見』2024年4月号に掲載の情報です。
別役実作品の不思議な面白さ
別役さんの世界を理解するのは僕には簡単ではありませんが、不思議な会話も多いので、お客様に楽しんでいただきたいです。
5人の紳士と2人の淑女が登場するのですが、たくさんの人が話しているのに、2人の会話のように感じる場面もあるし、1人の人間の中で交わされているやりとりみたいに思えるときもあって。
何人かの人がくっついたり離れたりしながら、会話の内容がくるくる変わっていくので、ケラケラ笑って読んでいたら、途端に状況が変わったりして。
台詞を覚えるのは大変ですが、この不思議な面白さをそのままお届けできたら。
皆さんと稽古するのが楽しみです。
――お若い頃から、いろいろな舞台に立たれています。
初めて舞台に立ったのは、吉本新喜劇の若手公演でした。
とにかくがむしゃらにやってきましたが、それはご一緒させていただいた先輩に、がむしゃらな方が多かったんです。
舞台は一日だって穴をあけるわけにはいかない。
体調も整えて、とにかく千秋楽までやり切る。
皆さん、その覚悟がすごいんですよ。
原動力は何かといったら、何カ月も前から高いチケットを買ってくださるお客さんとの長い約束。
その約束を果たすんだという心意気をスタッフ・キャストの皆さんと一緒に持てるのが、舞台の本当にすてきなところだなと、いつも思っています。
一度、くじけそうになった舞台があったんです。
そのときに楽屋のドアを少しだけ開けて、一言くださったのが今回のプロデューサーの北村明子さんでした。
どうして分かるんですか?って思うほど、そのときの気持ちに寄り添う言葉をくださって。
本当に救われたんです。
だから今回、呼んでいただけたことが、本当にうれしくて。
大切にやらせていただきたいと思います。