この春、シェイクスピアの四大悲劇のひとつ『リア王』に満を持して挑む段田安則さん。その胸の内を伺いました。
※この記事は月刊誌『毎日が発見』2024年3月号に掲載の情報です。
観客をオーディエンス(聴衆)と言いますよね。お芝居は聴くものなんだなと。
――2年前の『セールスマンの死』から今回の『リア王』、キャリアを重ねた俳優さんの到達点のような役が続きます。
どちらも立派な、歴代の名優がやっていらっしゃる役ですからね、僕でつとまるのか不安が先に立ちました。
いいのかなと。
まだ『セールスマンの死』は設定が定年間近の男ですから、今ぐらいのほうが年齢的にはよかったと思うのですが、リアは80歳ぐらい。
僕がやるにはまだ早いような気もしたんです。
でも、これ以上年をとると、今度は台詞が覚えられないですからね(笑)。
リアは80代とは思えないほど、旺盛に喋ります。
稽古前から台詞を覚え始めているのですが、シェイクスピアの長台詞ですからね、正直、不安ばかりです。
体力、気力、脳力、これが最後まで持つのか。
千秋楽まで僕がやっているかどうか分からないから、観てくださるのなら早めに来てくださいっていう状態ですね(笑)。
でもそれと『リア王』は四大悲劇と言われていますが、台本を読んでいると結構笑えるんですよ。
ダメなお父さんで、喜劇としても読める。
演出家のショーンは現代的にすると言っていますし、そのあたりが稽古でどう作られていくのか楽しみですね。
――『セールスマンの死』では錚々たる演劇賞を受賞されて。
その前に賞をいただいた『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない?』も『セールスマンの死』も本当によく喋る役でした。
賞をいただくというのは「こんなに大量の台詞をよく覚えて頑張りました」というご褒美も加味されているのではないかと思えてくるほどです。