葉山の自然に囲まれた家での豊かな暮らしを書いた本が人気の元「ミス日本」の伊藤千桃(いとう・ちもも)さん。今回は「あるものを工夫」して楽しむ生活について伺いました。
この記事は月刊誌『毎日が発見』2023年12月号に掲載の情報です。
庭仕事しやすい、カジュアル服が基本。
"ここぞ"という日は、着物で気分もスイッチ
「たくさん」は必要ない。
あるものを工夫して楽しむ
神奈川県・葉山に40年以上暮らす伊藤さん。
「桃花源」という名で料理のケータリング、バーベキューサービス、民泊などを行っています。
「離婚してこの家に戻ってきてから、庭や裏山の野草、山菜などを活用するようになりました。お金は全然なくても、"あるもの"を工夫して暮らすのは楽しくて、かえって自由になった気がします」
語りながら庭のハーブ入りフォカッチャと、ドクダミの自家製ハーブティーでもてなしてくれた伊藤さん。
普段の服装はどうしていますか?
「毎日庭仕事をするので、ジーンズと長靴です。ハーブの手入れなどもあるので、とにかく動きやすくないと。逆に『いざというときの外出着は着物』と決めているので、迷わなくてラクなんですよ」
そんな伊藤さんに今日着ていただいたのは、エムポルクのジップアップニット。
サイドにスリット入りの動きやすさと、肌触りのよさがお気に入りです。
あわせたのは、虫食いになった着物をリメイクしたというスカート。
「シミなどで着られなくなった着物も、捨てずに活用できるリメイクはいいですね。やけに物もちがいいのか(笑)、このブレスレットやピアスも30年前に買ったお気に入りで、長年使ってます。シンプルな服でも、スカーフやアクセサリーをその日の気分で足してみると、気持ちが華やいで元気が出ますよ」
近くに店もない山の暮らしだからこそ。
"あるもの""好きなもの"を大切に知恵を使って暮らすその笑顔の、なんて柔らかで幸せそうなこと。
「いまは娘とケータリングの仕事をしていますが、母娘で『全然お金ないわねえ』『ま、なんとかしましょ』と、そのときどきで、悩まずのほほんと暮らしてます。『100歳まで元気で働いてよ』といわれるので、そうかあ、私は100まで体動かすのね、なんて素直に思っています、フフ」
現在73歳。
自然体で、シンプルで豊かな暮らしを楽しむ姿には、普遍的なまぶしさがありました。
取材・文/黒木博子 撮影/かくたみほ ヘア&メイク/枝村香織