いまをまっすぐ進む大人世代に、服と一緒に歩む人生について伺う、こちらの連載。今回は刺繍デザイナーの青木和子さんに「自分らしく感じられるファッション」などをお伺いしてみました。
この記事は月刊誌『毎日が発見』2023年7月号に掲載の情報です。
40年以上の相棒はボーダーシャツ。自分らしくいられる上質なシンプル服が好き。
50代になって気付いた自分に本当に似合う色
著書も多く持つ人気刺繍デザイナー・青木和子さん。
絵画のように精緻で美しい作品には、熱心なファンも多数。
そんな彼女の今日の着こなしは、エムポルクのTシャツとパンツ。
手仕事を邪魔しない七分袖は、仕事中にも便利とか。
仕事は25年のキャリアだそうですが...?
「専業主婦のとき、出版社に刺繍サンプルを持ち込んだのがきっかけ。子育てしながらの最初の10年は忙し過ぎてあまり覚えてないんです(笑)」
子どもが独立した50代で、やっと自分に手間をかける余裕ができると聞きますが、青木さんもでしょうか?
「そのころはちょうど体形も変わって何を着ていいか分からなくなって。そこで『自分に似合うものは何だろう』とじっくり考え、それまで黒を着ることが多かったですが、黒よりネイビーや明るい白の方が、自分には映えるなと。それ以来、服はネイビーと白を基本に統一しています」
その2色でまとめた今日の着こなしも、肩の力が抜けた自然体が爽やかですてきです。
「自分らしく感じられて、清潔感ある着こなしが好きですね。25歳でスウェーデンに留学したときボーダー柄と出会ってから、ずっと好きで。ボーダーシャツは40年以上着続けています。子育て中はできませんでしたが、いまだからこそ、上質なものを少しずつ揃えています。今日の靴とバッグは好きなヒロフ(※)のものですが、シーズンごとに買い足していくのが嬉しくて。手の届くささやかなぜいたくを楽しむのも、60代ならでは。
11月には70代を迎えますが、今後は"作家"として、自分が作りたいと思うものを自由に制作したいなと。生き方もおしゃれも、もっとワガママに楽しみたいです」
※ 1978年創業当時から根強いファンを持つ、 日本の革製品ブランド。
文/黒木博子 撮影/かくたみほ ヘア&メイク/枝村香織