きものとして着ることはなくても、色柄が好きで捨てられず、たんすにしまったままになっている...。そんなきもの地に刺繍をしませんか? 柄を図案にすればとても簡単。糸の色とふっくらした風合いが加わって、魅力的な表情に生まれ変わります。刺繍をした端切れは暮らしの小物にして楽しみましょう。今回はウエディング小物作家の渋沢英子(しぶさわ・えいこ)さんに、「きもの柄を生かす『ワンポイント刺繍』」について教えてもらいました。
柄の線をなぞって...
「コースター」
きもの地に描かれた線をなぞるように刺しているだけ。シンプルな連続柄に向いている刺し方です。糸の色を使い分けたら、色違いのようににぎやかになりました。
刺繍した端切れを、写真立てに入れて飾るのもおすすめ。思い出のきもの地を写真と一緒に並べれば、アルバムのようなコーナーになります。
シンプルな麻の葉柄が描かれた、刺繍前のきもの地。
表
柄の線の上をちくちくとランニングステッチ。3枚とも刺し方は同じで、糸の色だけを替えています。
裏
表地とは違う裏地を重ねて仕上げています。裏側に渡る刺繍糸や玉留めが隠れるのできれいです。
文字をプラスして...
「かごカバー」
細かい総柄のきもの地に、ワンポイントで「Spring」の文字を刺しました。布の大きさはお好みで。大きな布で作って風呂敷のように使ってもいいですね。
きもの地に新しい図案を刺繍するのもすてきです。見慣れた端切れのイメージを変えて、新しい布として部屋に飾りませんか?
小花柄が規則的に並ぶ刺繍前のきもの地。刺繍した布はプレゼントにしても。
まず写真のようにきもの地に実物大図案を写し、この線を頼りにステッチしていきます。細い部分はバックステッチ、太い部分はサテンステッチ。濃い色の糸で文字を浮かび上がらせましょう。
やさしい手触りの刺繍糸。色はきもの地の色に合わせて選びましょう。
作ってみましょう
柄の線をなぞって...「コースター」
材料:きものの端切れ13×13cm2枚
〈できあがり11×11cm。表裏に違う布を使用〉、好みの色の刺繍糸、刺繍針
仕立て方:下図参照
刺し方:柄の線上をランニングステッチ。シンプルな連続柄は、同じ方向の線を続けて刺すと裏側の糸の交差が少なくなりきれいに仕上がります。刺繍糸は2本取り。
コースター/かごカバーの仕立て方
* 作り方の手順は、コースター、かごカバーともに同じ
* 最初に表地に刺繍をしてから、裏地を合わせて仕立てる
<用意する布のサイズ>
コースター
●縦13×▲横13cm
かごカバー
●縦44×▲横36cm
文字をプラスして...「かごカバー」
材料:きものの端切れ44×36cm2枚〈できあがり42×34cm〉、好みの色の刺繍糸、刺繍針
仕立て方:上図参照
(1)「Spring」の図案を薄紙などに写して型紙を作り、チャコペーパーを使ってきもの地に描きます。
(2)右下の図のように、細い線(グレー)の部分はバックステッチ、太い線(ピンク)の部分はサテンステッチ。ステッチの変わり目も糸を切らずに続けます。刺繍糸は3本取りで。
淡い色のきもの地に刺すと文字が際立ち、すてきです。