やさしい手ぬいを提案する高橋恵美子さんのきものリフォーム。今回ご紹介するのは、夏のベスト。シンプルなブラウスやTシャツにふわりと重ねて、おしゃれのアクセントにしませんか? ショート丈・ロング丈ともに脇のリボンを結んで着る新しい形。脇があいているのでゆったりとした着心地で風通しもよく、暑い季節にぴったりです。作り方は簡単。きものの身頃の形を生かし、もともとの背ぬいをほどかず利用。えりぐり以外は直線ぬいだけでできます。
【前回】手持ちのきものを「ショート丈ベスト」にリメイク! ブラウスやTシャツに重ねておしゃれに着こなそう
布をまとうような軽やかさ。
脇をリボンで結ぶ流行のデザインです
きもの地が映える ロング丈
着丈は95.5cm(Mサイズ)。素材は、日差しに透ける薄手の夏きものの絽。白いインナーを合わせてその色柄を引き立てています。
ショート丈・ロング丈ともにとてもシンプル。
同じ手順で作れます
ベストは、上の写真から分かるように身幅にゆとりのある形。
きものの後ろ身頃の幅をたっぷりと使って、着やすく仕上げています。
肩とえりぐりをぬえばベストの原形ができますから、気軽に作ってみてください。
ロング丈
・えりぐりはバイアス布でくるんで仕上げます。
・前・後ろ身頃の脇にリボンをぬい留めます。長さに余裕があるので、自分のウエストサイズに合わせて結べます。
・きものの背ぬい部分。ショート丈は前・後ろ身頃ともに、ロング丈は前身頃のみ、ぬい目をほどかずにそのまま生かします。
程よいえりぐりのあきもポイント
あき過ぎず、詰まり過ぎてもいないえりぐり。首元がきれいに見えます。
きもの地の揺れ感を楽しんで
歩みに合わせて裾が揺れ、絹のしなやかさと高級感が伝わります。これもきものリフォームだからこその魅力です。
作ってみましょう
ロング丈 材料
単衣のきもの...1枚
手ぬい糸
ベストは、ショート丈・ロング丈ともにきものの身頃の形を生かして作ります。
最初に、下図の寸法で型紙を作りましょう
薄紙などに実寸で下図の線や印を書き、線の通りに切ります。
M、L、LLサイズに対応していますので、自分のサイズに合わせます。
【製図】
身幅はM・L・LLの寸法を参考に。
丈は下の身長から選びましょう。
M...156cm L...160cm LL...162cm
【基本のぬい方】
《手元に置いておきたい道具》
糸切りばさみ
糸を切ったり、えりやおくみを外すときに使う握りばさみ。自分の手に合った大きさを選
ぶといいでしょう。
糸通し
針と糸をセットして、ボタンを押すだけで糸が通るデスクスレダー。ワンタッチでできるのでストレスがありません。
きもの地を裁ちます
型紙を使って裁ちます。
ロング丈
丈が長いので、きものの後ろ身頃から、ベストの前身頃のみを裁ちます。ベストの後ろ身頃は、きものの前身頃から左右別に裁ち、中心をぬい合わせます(下の図参照)。
《バイアス布の作り方》
バイアス布の作り方は、ショート丈・ロング丈共通です。
※えりぐりのバイアス布ははぎ合わせて約70cm×1本にする
ぬっていきましょう
ぬい方はショート丈のベストで説明します。
ロング丈も手順は同じです。
1 . 補強ぬいをする
きものの背ぬいを利用して裁ったパーツは、きものの元のぬい目がほつれないよう、ぬい目の際を表側から5cm並ぬいして補強する。ぬい始めとぬい終わりは2~3回返しぬいをする。
2 . 肩をぬう
3 . えりぐりを下ぬいする
4 . えりぐりをバイアス布でくるむ
※バイアス布の作り方は上記《バイアス布の作り方》を参考に
5 . 脇の布端をぬう
6 . 裾をぬう
7 . リボンを作り、付ける
取材・文/飯田充代 撮影/中島繁樹 モデル/寺田 椿 スタイリング/石井あすか ヘアメイク/成澤宏人 作図/比護寛子 イラスト/たまスタヂオ