舞台衣装作家の岡本孝子さんに「きもののリフォーム」について教えていただく、定期誌『毎日が発見』の人気連載。今回は、「軽やかな春コート」をご紹介します。
木綿のワンピースとスニーカーを合わせてカジュアルに。着用しているのは作者・岡本孝子さん(84歳)。
ふわりと立ち上がるえりが魅力
前立てに続くえり。写真のように伸ばして着ても、胸元まで細く折り返してもすてきです。
スリットを入れて歩きやすく
着丈は108cmと長めですが、スリットがあるので動きやすさ満点。体が包み込まれる安心
感もあります。
ケープは長方形の布にリボンをプラスするだけ
きものの身頃幅をそのまま生かしていますから、作り方は簡単。幾通りもの使い方ができます。
さらっと羽織れる1枚仕立て
袷のきものをリフォームする場合は、裏地を取り、1枚仕立てに。絹の軽さとしなやかさを出します。
ケープを重ねるとおしゃれ感がぐっと増します
重たい上着を脱いで、軽やかに出かけたい...。
岡本さんが、そんないまの気持ちにぴったりの春コートを作ってくれました。
形も作り方もシンプル。身頃、袖、えり共に、四角形に裁ったきもの地をぬい合わせるだけでできます。
えり元や裾が揺れて、絹独特のきれいなシルエットが出るのは、裏地なしの1枚仕立てだからこそ。
おそろいのケープも作って、早春のおしゃれを楽しんでください。
セットアップして華やかに
リボンの結び目がアクセント。背中が包まれるので寒さよけにもなります。見た目同様、実際に着たときの軽さも魅力です。
まずきものをほどきましょう
1.使うきものを広げます。
2.ぬい目をほどいて、図のような四角い布に戻します。
《ここでは、「内揚げ」をのばして使いました》
きものには、下図のように、内側にぬい込まれた「内揚げ」という部分があります(きものによってはないものもあります)。
裾がすり切れたり、丈を長くしたいときに、この部分をのばして仕立て直しをします。
今回は、はぎ合わせなし(1枚布)のケープを作るため、内揚げをのばして用尺を確保しました。
丈はきものによって異なりますので、内揚げを使っても用尺が足りない場合は、途中ではぎ合わせましょう。
春コートを作ってみましょう
春コートは脇マチを付けて、身幅たっぷりに仕上げます。
各パーツはできるだけ「耳」を利用して裁ち、布端の始末を減らします。
パーツが用意できたら、それぞれをぬい合わせていきましょう。
材料
きもの...1枚
ケープ用の裏地...36×130cm(なめらかな洋服用の裏地や、ポリエステルなどの薄い素材)
裁ち方
春コート
1.後ろ中心をぬう
2.脇マチを付ける
3.袖をぬう
4.袖を付ける
5.えりをぬう
6.えりを付ける
7.仕上げる
取材・作図/飯田充代 撮影/木下大造 スタイリング/岡部久仁子 イラスト/小池百合穂