コロナウイルスの感染再拡大に加え、寒くなってきてなかなか外出できない...という人も多いのでは? そんな人にぜひご紹介したいのが、大自然に生きる野生動物たちをとらえた「息遣いが感じられるような写真」の数々。写真家・井上浩輝さんの写真集『Look at me! 動物たちと目が合う1/1000秒の世界』(KADOKAWA)より、外出自粛でうちにこもった気持ちが開放されるような、そんな「瞬間」を切り取った写真を、抜粋してご紹介します。
くるくるとして大きく、透き通った瞳でこちらを見つめるこのおチビちゃん。
道東の国道沿いにことし生まれたキタキツネ4きょうだいのうちの一匹です。
この子がじっと見つめる相手は...北海道をフィールドにキタキツネをはじめとした野生動物を追い続ける写真家・井上浩輝さんです。
井上さんが大きな注目を集めるきっかけになったのは、2016年に米誌『National Geographic』の「TRAVEL PHOTOGRAPHER OF THE YEAR 2016」ネイチャー部門第1位の日本人初受賞。
それはピンク色に染まる空の下、雪原を追っかけっこするキタキツネの作品でした。
その後も年中、北海道の北から南まで車を走らせ、エゾリス、エゾジカ、ヒグマ、エゾモモンガ、タンチョウなど北の大地に生きる動物や、四季折々の風景をとらえてきました。
井上さんの作品は、流れる空気や落ち葉の音、動物たちの息づかいまで聞こえてきそうなほど臨場感にあふれたものばかり。
その魅力を存分に感じられる写真集『Look at me! 動物たちと目が合う1/1000秒の世界』(KADOKAWA/1,700円・税別)が11月12日(木)に発売されました。
母ぎつねに甘える子ぎつね、転げまわって遊ぶ子ぎつねたちのわんぱくな姿、いたわり合うきつね夫婦など、キタキツネたちの暮らしぶりを中心に、北の大地で生きる野生動物たちの姿が四季を通じて収められています。
写真集の中からいくつか作品をご紹介しましょう。
井上さんが「とても愛嬌いっぱいで、まるで動くぬいぐるみのよう」と言うエゾリス。
手には木の実の屑がついているのか、「見つかっちゃった!」とでもいうような表情に思わずクスリとなります。
肩を寄せ合うつがいのエゾフクロウ。
互いを慈しむように2羽が重なり合って、まるでハート型に見えませんか?
冬の澄んだ青空をバックにしたキタキツネ。
厳しくも長い北海道の冬、つかの間の晴れ間を楽しんでいるかのようです。
写真集には、こんな表情するんだ、こんな動きをするんだ、とびっくりするような瞬間がたくさん収められています。
それは井上さんの動物たちに対する温かな目線や、動物たちとの心の交流を疑似体験しているかのよう。
写真集のあとがきで「動物たちを撮影する中で、僕が感じるもっとも素敵な瞬間は、彼らと目と目が合ってしまったとき。ヒトと動物という異なる種に生まれたという垣根が取り払われたような気がします」と井上さん。
まばたきにも満たない"1/1000秒"というシャッタースピードで、動物たちの愛らしさやたくましさ、忍耐強さ、相手を慈しむ姿など、奇跡のような瞬間を撮影。
撮影エピソードなどコラムもあり、見応えたっぷり。
何度も見返したくなる珠玉の一冊です。
そしてそんな作品を間近に見られるチャンスも同時に到来。
東京・銀座にある富士フォトギャラリー銀座で11月13日(金)~19日(木)に「二人展 TAKASHIと井上浩輝+清水愛里」(入場無料)も開催されます。
井上さんご本人が在廊される日もあり、会場では写真集も販売(限定数あり)されるので、ご興味のある方はチェックしてみてください。