布に美しい文様を生み出す「刺し子」のススメ【まとめ】 

「刺し子」をご存じですか? 刺し子は、布が貴重だった時代に、布を重ねて強度をつけ、保温性を高めるために考えられた技法です。ただやみくもに刺すのではなく、花や波などの美しい文様を刺し、布に品格を与えました。また、傷んだ布の補強にも用いられ、貴重な布を大切に扱ってきたのです。そこで今回、手芸作家の堀川 波さんに、布に美しい文様を生み出す「刺し子」について教えていただきました。

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刺し子は、布が貴重だった時代に、布を重ねて強度をつけ、保温性を高めるために考えられた技法です。

ただやみくもに刺すのではなく、花や波などの美しい文様を刺し、布に品格を与えました。

また、傷んだ布の補強にも用いられ、貴重な布を大切に扱ってきました。

図案を布に写して、線の通りに並ぬいでぬってみてください。

自然に美しい文様になります。

写真の刺し子は参考作品。

文様の名は「柿の花」です。

刺し子の基本

【用意するもの】

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布(もめん)
刺し子用の点が描かれているものが使いやすいです。

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刺し子針
太口の糸を使用するので太めの針で。

布に美しい文様を生み出す「刺し子」のススメ【まとめ】  2009_P053_04.jpg布に美しい文様を生み出す「刺し子」のススメ【まとめ】  2009_P053_05.jpg

手芸用ネットで点を付ける
点が描かれた布がない場合、手芸用のネットを使うと簡単に点が打てます。

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水性チャコペン
消せるボールペンで代用でき、使用する場合はアイロンを当てると点や線が消えます。

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刺し子糸
刺し子用として売られている糸のほか、太口のもめん糸が使用できます。

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キルト芯
片面接着のものを使用します。接着剤が付いているので、寸法通り切って貼り合わせます。

【図案を写す】

布に美しい文様を生み出す「刺し子」のススメ【まとめ】  2009_P053_11.jpg布に美しい文様を生み出す「刺し子」のススメ【まとめ】  2009_P053_10.jpg点が描かれた布に図案を見ながら、線を引いていきます。点の間隔が狭いと小さな柄に、広いと大きな柄になります。

詳しい記事はこちら:チクチク針を進めて美しい文様を。「刺し子」の基本/すてきな刺し子(1)

刺し子の模様はどうやって作るの?

布に美しい文様を生み出す「刺し子」のススメ【まとめ】  2009_P055_01.jpg布に美しい文様を生み出す「刺し子」のススメ【まとめ】  2009_P055_02.jpg

上写真のように、図案に沿って並ぬいを横に刺し、布を90度回転させて、十字になるように並ぬいをすると、並ぬいの幅を変化させることによって自然に模様ができます。


刺し子の仲間、菱刺しとこぎん刺し

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菱刺しは青森県南部地方、こぎん刺しは青森県津軽地方に伝わる刺し子技法の一種で、 麻布の粗い目を塞いでいくように糸を刺します。布に強度を付け、保温性を高めるためのもので、美しい文様が古くから継承されています。

マスクケース

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材料
もめん布...24×13cm 2枚
刺し子糸
片面接着のキルト芯(厚手)...24×13cm
スナップ...1組

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作り方
① 布を5mmのぬい代を付けて裁ちます。

② 表の布に図案を写し、刺します。

③ 図案が刺せたら、キルト芯を貼ります。

④ 2枚の布を中表にして1辺のみ残してぬいます。

⑤ 残したところから裏返し、かがりぬいで閉じます。

⑥ 内側にスナップを付けます。

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マスク

材料
市販の布マスク...1枚
(今回は全世帯に配布された布マスクを使用)
刺し子糸

作り方
① 図案を写します。

② マスクの布が何枚か重なっている場合は、いちばん上の布に図案通り刺します。

ふきん三種

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材料(1枚分)
さらし...32×64cm
刺し子糸

作り方
①さらしを5mmのぬい代を付けて裁ちます。半分に折って両端をぬって筒状にし、表に返します。

② 図案を写します。

③ 四方の枠を初めに刺し、布がずれるのを防ぎます。中の図案を刺します。

【100円ショップにも刺し子セットが売っています】

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あらかじめ図案が描いてあるので、それに沿って刺せるような布が売られています。糸は付いていないので、好きな色の太口のもめん糸を使って刺します。お試し用に便利です。(セリア)

鍋つかみ

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材料
赤い布...16×32cm
ループ用の布...14×5cm(写真は白地に赤い丸の布を使用)
片面接着のキルト芯(厚手)...16×16cm
刺し子糸...白

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作り方
① 鍋つかみを作ってから刺します。赤い布を5mmのぬい代を付けて裁ちます。布を半分に折り、裏面の折り目からキルト芯を接着させます。

② ループ用の布に5mmのぬい代を付けて裁ち、中表にして横半分に折り、脇をぬって表に返します。

③ 赤い布を中表にしてループを2つに折って挟み、左右をぬって、表に返します。返し口はぬい代を内側に折ってかがりぬいで。

④ できあがった鍋つかみに図案を写し、刺していきます。

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円の図案は半円をずらすことで波の文様にもなります。いちばん簡単な図案なので試してみてください。縦にS字を描くように刺していきます。

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詳しい記事はこちら:マスクやマスクケースにも模様を入れてみて!「刺し子」の作り方/すてきな刺し子(2)

【まとめ読み】「すてきな刺し子」記事リスト

撮影/原 務 トレース/ウエイド手芸部

 

<教えてくれた人>
堀川 波(ほりかわ・なみ)さん
絵本作家、手芸作家、イラストレーターとして活躍。『48歳からの毎日を楽しくするおしゃれ』(エクスナレッジ)、『籐で作るアクセサリーと小物』(誠文堂新光社)など著書多数。

この記事は『毎日が発見』2020年9月号に掲載の情報です。

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