どうしても宿題ができなかった響ー父親が語る幼少期/岩野響『15歳のコーヒー屋さん』(12)

12.jpg10歳で発達障害のひとつ、アスペルガー症候群と診断された岩野響さん。中学校に通えなくなったのをきっかけに、あえて進学しない道を選んだ15歳の「生きる道探し」とは?
著書『15歳のコーヒー屋さん』を通じて、今話題のコーヒー焙煎士・岩野響さんの言葉に耳を傾けてみましょう。今回は岩野響さんの父親、開人さんが響さんの幼少期について語ります。

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前の記事「弟のほうができることが多い、と気づくー父親が語る幼少期/岩野響『15歳のコーヒー屋さん』(11)」はこちら。

 

学校がつまらなそうだった響

響にとって、学校の生活は全般的につまらなそうでした。
実際に授業を見たわけではありませんが、学校から指摘されることのほとんどは、「あぁ、響は興味がなかったんだろうな」と思えることばかりでした。

響は「みんなで、これをやりましょう」というのが好きじゃない。たとえば図工の時間に「これを作りたい」と先生に言うと、「ダメです。コレを作りなさい」と言われてしまう。

自分にはやりたいことがあるけれど、学校はみんなで同じことをしなくちゃいけなくて、ゴールも決まっている。それに対して上手にできたか下手かで評価が決まる。そういうのが子どもながらに納得がいかなかったのでしょう。

もちろん先生が間違っているわけではないし、そういうつまらないことも経験し、基本を学んで、そこから自分のやりたいものを見つけていくのが、一般的な筋道なのだろうと理解しています。だけど、そのやり方は響には難しかったということです。

響は字も書けるし、本も読める。だけど、宿題がさっぱりできなかったのは、それが響にとって、必要と感じられなかったからでしょう。

学校から帰ってきて、夜中になるまでじーっとノートに向き合っているけど、さっぱり先へ進めない。30分くらいでできそうなものも、ものすごく時間がかかっていました。

家にいると弟たちがうるさいからできないというのと、おばあちゃん(義母)からも、「あなたたちが、響の宿題を見てあげていないんでしょう。私が見てあげるから」と言われて、実家に預けたこともあります。でも、たった1日で、「私にも無理だったわ」と降参されました。

「宿題ができたら、お小遣いをやるぞ」というごほうび作戦に出たこともありましたが、それもまったく効果なし。きっと響にとってのモチベーションは、そこではなかったのでしょうね。

しかし、自分が興味のあることならやるけど、興味のないことはやらないというのは、世間的には通じないことです。本も読めるし、字も書けるのに、宿題をやらないのは、ただのサボりであり、怠けているという評価にしかなりません。

誰だって宿題はおもしろくない。だけど、歯を食いしばってやっているのだから、それをやらないのはおかしいとなるわけです。

 

撮影/木村直軌

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岩野 響(いわの・ひびき)

2002年生まれ。群馬県桐生市在住。10歳で発達障害のひとつ、アスペルガー症候群と診断される。中学生で学校に行けなくなったのをきっかけに、あえて高校に進学しない道を選び、料理やコーヒー焙煎、写真など、さまざまな「できること」を追求していく。2017年4月、自宅敷地内に「HORIZON LABO」をオープン。幼い頃から調味料を替えたのがわかるほどの鋭い味覚、嗅覚を生かし、自ら焙煎したコーヒー豆の販売を行ったところ、そのコーヒーの味わいや生き方が全国で話題となる(現在、直販は休止)。

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『15歳のコーヒー屋さん』

(岩野 響/KADOKAWA)

現在、15歳のコーヒー焙煎士として、メディアで注目されている岩野響さん。10歳で発達障害のひとつ、アスペルガー症候群と診断され、中学校に通えなくなったのをきっかけに、あえて進学せずコーヒー焙煎士の道を選びました。ご両親のインタビューとともに、精神科医・星野仁彦先生の解説も掲載。

『15歳のコーヒー屋さん』

 

「HORIZON LABO」公式ホームページはこちら「HORIZON LABO」コーヒー豆の通販はこちらで行っています。

この記事は書籍『15歳のコーヒー屋さん』からの抜粋です

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