聴力ケア

めまい・ふらつきの多くは「寝ているだけでは治らない」。名医・新井先生が解説する「克服の鍵」

耳の構造

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耳の内部は、外耳、中耳、内耳の3つに分かれています。左右の内耳にある「耳石器」と「三半規管」 が正常に機能することによって、バランスよく立ったり歩いたりすることができます。平衡機能をつかさどる内耳の不調が、めまい・ふらつきの原因となります。


激しいめまいに襲われるとつらくなり、ベッドで安静にする方、多いですね。

でも、寝ているだけではめまいは治りません!

私たちがまっすぐ立っていられるのは目、耳、足の裏からの情報を小脳に集めて左右のバランスを取っているから。

なかでも重要な役割を担うのが内耳です。

内耳に不具合が起こると体のバランスが崩れて、めまいやふらつきとして感じるのです。

人の体をプロペラ機にたとえると、体が機体、内耳がプロペラ、小脳がパイロットです。

内耳に不具合が生じた状態は片側のプロペラが壊れた機体と同じですから、ベッドに緊急着陸するしかありません。

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しかし本来プロペラ機は、訓練を受けたパイロットにより、一基のプロペラでも飛び続けることができます。

そして、人間にも平衡を保つパイロットがちゃんと備わっています。

それがバランスの親分「小脳」です。

点滴でもクスリでも、このバランスの左右差を改善することはできません。

でも、小脳にはバランスの左右差を改善する力があります。

そう、小脳がめまい改善の鍵を握っています!

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小脳は大脳の下に位置する小さな脳で、平衡機能をつかさどる中枢です。

めまいが生じて時間が経って落ち着くのは、小脳が体の左右平衡を是正するシステム 「前庭代償」を発動しているから。

しかし、小脳も訓練しなければ名パイロットには育ちません。

つまり、ベッドで寝ているだけでは前庭代償は発動しないので、バランスの親分である小脳を鍛えるのです。

それがめまい改善訓練です!

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フィギュアスケートの選手が回転しながら演技を続けられるのも"訓練"のおかげです!

フィギュアスケートの回転は、左回転が多いことをご存じですか?

人は左に回ると、左右の目には必ず左向きに眼振というめまいに近いことが生じます。

これはスケート選手も同様で、実は目が回っているのです。

ですが訓練により、回転後には左回転を打ち消すための右回りの急ブレーキ(後眼振)が利くようになります。

つまり、回転練習を続けることで、回転というめまいを打ち消す能力を身につけているんですね。

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私たちもコーヒーカップに乗り続ければ、小脳が学習して回転後のめまいを克服できるようになるんですよ。

とってもキツイけれど......。

この事実と、めまい改善訓練でめまいがよくなるのは相通じる仕組みです。

つまり、平衡機能の左右差によるめまいは訓練で治せます!

めまいはつらいし怖い......。

でも、訓練を重ねれば必ず克服できます!!

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※この記事は『全国から患者が集まる耳鼻科医の めまい・ふらつきの治し方』(新井基洋/毎日が発見) からの抜粋です。
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