Q.加齢性難聴で特に聞き取りづらい音はある?
A.電子音などの高音から聞こえにくくなる
加齢性難聴の原因は有毛細胞の損傷。有毛細胞は片耳に約15,000個並んでいて、内側の1列が音を感知する内有毛細胞、外側の3列が音の増幅や抑制をする外有毛細胞になります。このうちまずやられるのが内有毛細胞で、耳の入口に近い手前側から壊れていきます。実は有毛細胞はそれぞれ特定の高さ(周波数)の音波に対応していて、手前側は高音を感知する箇所。そのため、高い音から聞こえなくなり、電子レンジや携帯電話などの電子音を聞き取りにくくなるのが特徴です。
また、子音を聞き間違うケースも多く、特にカ行やサ行が聞き取りづらいというデータもあります。さらに外有毛細胞が壊れると、雑音を制御して必要な音をセレクトする機能が損なわれるため、人混みなどざわざわした場所での会話が聞き取りにくくなります。
Q.加齢性難聴で心配されることとは?
A.危険回避能力の低下や認知症のリスクも
災害時の警報が聞こえないなど、必要な音が聞こえないことによって、危険を察知する能力が低下します。また、聞こえ方に左右差が出てくることも多いため、音のする方角を判断する能力も低下。後ろから車が近づく音など、視界に入らない音が聞きとりにくくなるため、事故などに遭いやすいという危険も増えます。さらに、聞こえないことで家族や友人との会話を楽しめなくなると、周りとコミュニケーションをとることに臆病になってしまうケースも。そうした状況が続くと、認知症のリスクを高めてしまうことにもつながります。
Q.加齢性難聴は治りますか?
A.回復は困難。補聴器や集音器で聞こえを確保して
残念ながら、一度壊れた有毛細胞は再生しないため、現段階では根本的な治療法は存在しません。とはいえ、聞こえが悪くなったからテレビを大音量にするなど、周囲の音を大きくしてしまうと、有毛細胞が損傷し、難聴が加速してしまうおそれも。聞こえにくさを感じたら、早めに耳鼻咽頭科を受診し、定期的に聴力検査を受けましょう。家族がそのような状態になった場合は、大きく、ゆっくり、はっきりと話し、身振り手振りを加えると伝わりやすくなります。そして、補聴器に限らず、手軽に使える集音器を利用したり、スピーカーを近くに置いたりなど、自然に近い形で聞き取りやすい環境をつくってあげることも大切です。
*********
人生100年時代。年齢の進行とともに進む「加齢性難聴」は、今や誰もがなる可能性があると言えます。失われた聴力を元に戻すことは難しいけれど、正しい知識を身につけておくことで、難聴によるリスクをできるだけ回避しながら過ごしていけるといいですね。
取材・文=酒詰明子 イラスト=チョッちゃん
【編集部おすすめ】「すぐに使える!」が嬉しい。
音響機器メーカー出身の「音のプロ」たちが作った集音器
歳を取り、耳が聞こえづらくなってくる「加齢性難聴」。少しずつ進行するので気づきづらく、また「歳だから仕方がない」と半ばあきらめている人も多く見られます。でも、老眼になったら老眼鏡をかけるように、聞こえづらくなったらすぐに、必要な時だけでも使える「集音器」を活用してみませんか?
そんな時にぴったりなのが、今回ご紹介する「オトモア株式会社」の"耳あな型"デジタル集音器『femimi(フェミミ)デジタル集音器』。元「音響メーカー・パイオニア」出身の「音のプロ」たちが技術を結集しています。