胃の痛みには2種類の原因が!疲れた胃腸を助けるためのツボをご紹介

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(C)櫻井大典、中神洋和 絵:ももろ

自律神経もととのう 漢方ツボ押し大全(櫻井大典、中神洋和/KADOKAWA)第3回【全8回】

年を重ねるごとに増えていく心と体の不調を「年齢のせい」とあきらめていませんか? SNSで人気の漢方専門家・櫻井大典さんと鍼灸師・中神洋和さんが提案するのは、そんなお悩みを抱えたあなたを手助けするツボ押しと養生のやり方です。「ぐっすり寝たのに疲れが取れない」「胃腸が弱い」「肩こりや頭痛がしんどい」といったなんとなくの体調不良には、ツボ・養生・漢方薬が効果的。毎日を元気に過ごすために知っておきたいツボ療法について、初歩から実践までまるっと学んでいきましょう! まずは、ツボ押しの3つの基本方法からご紹介します。

本記事は櫻井大典、中神洋和著の書籍『自律神経もととのう 漢方ツボ押し大全』から一部抜粋・編集しました

不足分をおぎなうか、不要なものを出すか
「補・瀉・平」のツボの押し方

ツボ押しのとき、覚えておいてほしいのが「補(ほ)」「瀉(しゃ)」「平(へい)」という3つの押し方です。本記事でも、各ツボのところにこの3つのどれかを併記しています。

東洋医学(中医学)における診断方法には「虚実」という考え方があります。ざっくりいうと、「虚」は心身に必要なものが足りていない状態で、「実」は心身に余分なものがたまっている状態をさします。

ツボ押しや鍼治療をおこなうとき、私(中神)は相談にいらしたかたの不調の原因が「虚なのか、実なのか」をみきわめ、それにあわせて押し方(さし方)を決めています。虚の場合は足りていないものを満たすために「補す」必要があり、実の場合は余分なものを流すために「瀉す」のです。

<補>

足りないものがあり、それをおぎないたいときの押し方です。不足している分をおぎない、満たすためには、痛くする必要はありません。やさしく押すことで、足りないところをじっくりと満たしてください。トントンとやさしくたたいてもよいでしょう。

<瀉>

余分なものがたまっているときの押し方です。詰まりを流し、取りのぞくイメージなので、強めにしっかりと押すのがポイントです。「痛気持ちいい」をめざしましょう。指の腹では押しにくいときは、爪やペン先などを利用してもOKです。

<平>

補と瀉の中間が「平」です。これはそのツボが本来もっている機能を回復させたいときの押し方で、おぎなうでも流すでもなく、もとにもどすのが目的。中くらいの強さでしっかりと押しますが、痛いほど強くしないようにしましょう。

ストレスが出やすい胃腸の不調 胃痛

胃の痛みは、ガスの停滞によるものと胃腸の弱りの2種類の原因がある

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(C)櫻井大典、中神洋和 絵:ももろ

胃の痛みには、主に2種類の原因があると考えられています。
 
ひとつは、おなかが張ってガスがたまったことにより、痛みが生じている場合。東洋医学(中医学)ではこれを「不通則痛」と呼びます。血のめぐりが悪くなり、よくない状態の瘀血(おけつ)がとどこおっているので、対処法としては胃腸を動かし、気をめぐらせる必要があります。ストレスがかかっているので、キリキリと強い痛みがあるのがポイントです。
 
2つめは、胃腸が弱っているせいで腸を動かす力が足りずに痛む場合。東洋医学(中医学)ではこれを「不栄則痛」と呼びます。どんよりと重い痛みがあるのが特徴です。この場合はまず胃腸を元気にすることが必要なので、エネルギー補給剤や漢方薬を使うこともあります。
 
なお、胃痛のあるところを圧迫して痛みが増したら前者、軽減したら後者です。

Let's ツボ押し

【中脘(にくづきに完)】押し方:補

疲れた胃腸の働きを元気にするツボです。おへそと胸骨の先端(剣状突起)を結んだ線上の中央やや上にあります。あおむけになって両手のひらを載せ、手のひらで軽く圧迫しましょう。不快感がある場合は、押した手を軽く揺らすと、胃にたまっているものが抜けやすいです。お灸をすえるのもおすすめ!

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(C)櫻井大典、中神洋和 モデル:宗田淑

【足三里】押し方:補

万能のツボですが、一番の効果は胃腸を元気にすること。さらに、「降濁」と呼ばれる、胃にたまった物理的にも精神的にも不要なものを排出する作用もあります。ひざの皿の真下の少し外側にあるくぼみから、指4本分下です。親指で垂直にじっくりと押してください。

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(C)櫻井大典、中神洋和 モデル:宗田淑

Let's 養生

口の中がかゆ状になるまでしっかり嚙んで食べること

口のなかのものがかゆ状になるまでしっかり嚙んで食べることが大切です。私(櫻井)の患者さんにも、よく嚙むようにしただけで、それまで何をしても治らなかった胃痛と食欲不振が治ったかたがいます。
 
あと、食事中に飲みものを飲みすぎないこと。飲みながら食事をするとよく嚙まないうちに流しこんでしまって胃腸に負担がかかるほか、胃酸がうすまって消化力や殺菌力を下げてしまいます。また、あっさりとした味つけの食事を心がけ、量は腹八分目に。冷たいものは避けてください。

なお、胃腸が弱って痛む場合は「香砂六君子湯」という漢方薬もおすすめです。

 
※本記事は櫻井大典、中神洋和著の書籍『自律神経もととのう 漢方ツボ押し大全』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。
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