気になっていても見ないふりをしていた「ぽっこりおなか」も、薄着の季節では隠しきれなくなっている人も多いのでは? 「ぽっこりおなか」は見た目が気になるだけでなく、実は脳卒中や脳血管性認知症などのリスクが隠れている場合も...! 今回は、満尾クリニック院長の満尾 正(みつお・ただし)先生に、「ぽっこりおなか」の原因についてお聞きしました。
※この記事は月刊誌『毎日が発見』2022年7月号に掲載の情報を再構成したものです。
ぽっこりおなかは不調のはじまり。早めの対策を
年齢を重ねると、やせていても太っていても、おなかがぽっこり出てくる人は少なくありません。
「おなかがぽっこりと出てくる最大の原因は、姿勢の悪さ。背中が丸まると骨盤は後ろに傾き、あごは前に出て、おなかがぽっこりと前に。胸を開いて腰骨(腰椎)を立てるよう意識することが大切です」と、満尾正先生。
もう一つ気を付けたいのが、内臓脂肪型のおなかぽっこり。
内臓脂肪型の肥満になると、血管系の病気を引き起こしやすく、脳卒中や脳血管性認知症などのリスクが高まるといいます。
「内臓脂肪が増えると、血圧が上がったり、血糖値が高くなったり、動脈硬化が進んだりと、体にとって良くないことが将棋倒しのように起こります」(満尾先生)。
気付かないうちに思わぬ不調や病気を招くぽっこりおなかですが、諦めることはないと満尾先生。
「意識して対策を取れば、何歳になってもおなかをへこませることは可能です」。
ぽっこりおなか解消のための対策をご紹介します。
ぽっこりおなか&筋力低下の原因は「悪い姿勢」と「内臓脂肪」
猫背はぽっこりおなか、まっしぐら
猫背になると、胸が縮み、肋骨の位置が落ちてきます。
すると、落ちた肋骨がその下にある内臓を押しつぶします。押しつぶされた内臓は行き場を失い、前へと飛び出してしまいます。
これが、ぽっこりおなかになる一因。
まずは、肋骨を引き上げて、内臓が本来ある位置へと収まるスペースを作ることが必要です。
内臓脂肪が健康寿命を縮める
内臓脂肪がたまると、血管系の病気を引き起こしやすく、脳卒中や脳血管性認知症のリスクが高まります。
特に、内臓脂肪の中でも肝臓に脂肪がたまる脂肪肝は、肝硬変や肝臓がんへと進行する可能性があり、さまざまな生活習慣病を引き起こします。
万が一、健康診断などで脂肪肝と指摘された場合は、早めに改善に取り組みましょう。
食べ方や食事の工夫、軽い運動でぽっこり解消
おなかぽっこりの原因は姿勢の悪さや内臓脂肪の蓄積。
では、どんな対策が効果的なのでしょう?
「閉経後は、女性ホルモンと男性ホルモンが減少した状態。女性ホルモンの低下は、脂肪を内臓脂肪として蓄えることにつながります。一方、男性ホルモンの低下は、筋肉量と基礎代謝量が低下する原因に。この状態で運動をしても効果が出にくく、食べ過ぎれば内臓脂肪として蓄積されます。食べ方を工夫したり、若返りホルモンとして注目されているDHEAを増やす働きのある長いもなどを食べるといいでしょう」(満尾先生)
適切に体を動かすことも大切だと満尾先生。
「姿勢の改善には、体を支える筋肉が必要です。週に2~3回、お話ししながらできるくらいの軽い運動を行ってください。翌日まで疲労感が残るような運動は避けましょう」
普段の暮らしに無理なく取り入れられる食べ方や運動で、おなか周りをすっきりさせましょう。
取材・文/オフィス・エム(寳田真由美) イラスト/ノグチユミコ