病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。
書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。
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胸が「焼けるような感じ」とは?
「胸やけ」
●逆流性食道炎の可能性も
お腹のうえのほうや胸骨の後ろ辺りに焼けるような感じの違和感があることを「胸やけ」といいます。「焼けるような感じ」は人それぞれで異なっており、胸がつかえる、圧迫感がある、みぞおちに違和感があるなど、表現はさまざまあります。
胸やけを訴える患者さんのうち、大部分の原因は食道に胃酸が逆流して起こることが挙げられます。食道と胃のつなぎ目部分には下部食道括約筋(かつやくきん)という筋肉がありますが、食べ物が胃に入るときに筋肉が開き、胃に入ったあとは閉じて逆流を防ぐという働きをしています。
ところが、この筋肉が緩んでいると胃酸が食道に逆流してしまい、胸やけという症状になって現れるわけです。
胸やけの原因としては、暴飲暴食や、特定の物(辛い物や脂肪分が多く含まれる物、チョコレート、ペパーミントなど)を食べすぎたことによるものなどがあります。また、アルコールやカフェインなどの摂り過ぎも、胸やけを起こす原因になっていると考えられています。
胃酸や胃の内容物が食道に逆流してしまって起こる病気を逆流性食道炎といいますが、かぜでもないのにせき込んだり、喘息(ぜんそく)のような発作が起きたり、喉頭炎などの症状が見られるときは、逆流性食道炎の可能性が疑われますので、耳鼻咽喉科の医師に相談してみてはいかがでしょうか。軽い胸やけならば市販の胃薬(H2ブロッカー配合薬)で改善する場合があります。
また、食後すぐに体を横にすることも、胃には悪い影響を与えるとされていますし、タバコの吸い過ぎも胃にはよくありません。これらの改善策でまだ胸やけが治まらない場合は、医師の診断をあおいでください。
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中原 英臣(なかはら・ひでおみ)
1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。
『やさしい家庭の医学 早わかり事典』
(中原英臣[監修]/KADOKAWA)
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