病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。
書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。
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頭がズキズキと脈打つように痛む症状
「片頭痛」
●片頭痛と筋緊張型頭痛
「片頭痛」は頭の片側(ないし両側)が、ズキズキと脈を打つように痛むものをさし、数時間から3日間ほど続きます。月に1~2回の人もいれば、週に1~2回の発作を繰り返す人もいます。
症状のひどい人になると、単なる頭痛だけではすまなくなり、吐き気や嘔吐(おうと)のほか、光や音に過敏になるようになります。頭痛が起こる前兆として、視界がチカチカしたり、ギザギザした模様が見えるようになるという人もいます。
片頭痛になる原因はまだ解明されていませんが、ストレスなどによる刺激によって血液中にセロトニンという物質が増加し、血管が異常に拡張されて起こるというもの(血管説)や、脳神経である三叉(さんさ)神経の末端から出る物質によって頭の血管が拡張し、痛みが生じるとするもの(三叉神経血管説)などが考えられています。
また、片頭痛とは厳密には異なりますが、頭痛持ちの患者さんで多いのが筋緊張型頭痛です。これは、頭の後ろや首筋、肩にかけて痛みが広がるもので、後頭部に輪っかで締め付けられるような痛みが持続します。
毎日続くパターンもあれば、気付いたら痛んでいるといったものまでさまざまですが、断続的に痛みが続くのが特徴です。
筋緊張型頭痛の原因としては、パソコン画面を長時間同じ姿勢で見続けるなどしたことにより、首や肩の筋肉がこわばって、血流が滞(とどこお)ることによると考えられています。ですから、デスクワークをしている方は、意識的に肩や肩胛(けんこう)骨こつの辺りを回してこりをほぐしたり、何時間かの作業ののちに少し休憩を挟むことが必要でしょう。
従って、筋緊張型頭痛の場合、処方される薬は筋弛緩剤や精神的な症状を和らげる抗不安薬などとなります。ただ、薬に頼るのも問題で、飲んでいるうちに筋弛緩剤が効かなくなってくることもありますし、それらの服用によって改善傾向に向かうともかぎりません。姿勢をなるべくよくし、血流を通常時に戻すよう努めることが必要といえるでしょう。
<頭痛の種類>
●片頭痛:1か月のうちに繰り返しで数回起こり、頭の片側ないし両側が脈打つように痛む。光や音に敏感に反応し、吐き気を伴う場合もある。
●筋緊張型頭痛:日常的なストレスやパソコンの長時間作業などによって肩や首が凝った状態となり、頭痛に発展したもの。単に「緊張型頭痛」ともいう。
●群発頭痛:1~2か月の間、ほぼ毎日、1~2時間にわたって続く。男性に多く見られ、片方の目の奥が激しく痛むこともある。
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中原 英臣(なかはら・ひでおみ)
1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。
『やさしい家庭の医学 早わかり事典』
(中原英臣[監修]/KADOKAWA)
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