足の指の間がかゆい、水ぶくれができる、皮がむける...これらはすべて水虫の症状です。日本人の5人に1人が水虫に感染しているといわれています。水虫の原因は「白癬菌(はくせんきん)」というカビ(真菌・しんきん)です。白癬菌による感染症を「白癬」といい、実はこのカビ、足だけでなく手や頭など体のいろいろなところに棲みつくことができるのです。
そんな白癬菌の性質や特徴、治療法や予防法を、白癬治療の第一人者、仲皮フ科クリニック院長の仲 弥先生に伺いました。
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完治&再発防止のためのポイントは8つあります
足白癬(足の水虫)が治らない、再発するなど悩みを抱えている人は多いのではないでしょうか。そのような場合は薬を効率的に使えていないことが多いです。
外用抗真菌薬(塗り薬)を正しく塗れば、趾間型や小水疱型の足白癬は1カ月で治ります。きちんと治療することで再発を防ぐこともできますので、以下のポイントを治療に役立ててください。
1.薬は大量に塗る必要はありません。少量を手のひらや指さきですりのばして、塗った後にべたつきが残らない程度に塗りましょう。
2.優しく塗りましょう。ゴシゴシ塗ると炎症の原因にもなります。
3.1日1回、必ず塗りましょう。
4.お風呂上がりに塗るのがおすすめです。皮膚が柔らかくなっていて薬が浸透しやすくなります。
5.患部より広めに塗りましょう。白癬菌は患部だけでなく、症状が出ていなくてもその周囲にも広がっています。例えば足の指の間に症状がある場合は足の指と足裏の前半分に塗るとよいでしょう。
6.週に1回、反対側の足にも薬を付けると感染予防になります。
7.1カ月でほぼ治癒しますが、さらに1カ月塗り続けると再発予防に効果的です。家の中に残っている菌の寄生を防ぐことができます。夏は週に2~3回、冬は1回が目安です。
8.冬が水虫を治すチャンスです。白癬菌の症状が出ない冬は、湿度が低いため菌の活動が弱まっています。
1週間塗っても効果が見られない場合は他の病気を疑いましょう
前述のポイントを守って治療すれば、足白癬はおおむね1カ月で治癒することができます。しかし、薬を塗って1週間たっても効果が見られない場合は、別の皮膚疾患の可能性がありますので、診察を受けましょう。
他の病気を併発している場合も同じです。例えば皮膚科で白癬と診断されたとしても、湿疹を併発していたら、外用抗真菌薬は白癬菌を死滅させても湿疹には効果が得られません。そのため、いつまでも湿疹の症状が残り、白癬が治っていないと感じてしまうのです。
ましてや1カ月以上塗っても治らないとなれば、白癬以外の病気の可能性が極めて高いといえます。その場合は再度白癬の検査を行い、白癬菌の有無を確認してもらいましょう。
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取材・文/ほなみかおり
慶應義塾大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部皮膚科医長、同・皮膚科専任講師を経て、1996年に仲皮フ科クリニック(埼玉県川越市)を開業。真菌のエキスパートとしてメディアに多数出演。埼玉県皮膚科医会会長、日本臨床皮膚科医会参与(前副会長)、日本皮膚科学会代議員、埼玉県皮膚科治療学会理事、日本医真菌学会評議員、日本皮膚科学会認定専門医。