足の指の間がかゆい、水ぶくれができる、皮がむける...これらはすべて水虫の症状です。日本人の5人に1人が水虫に感染しているといわれています。水虫の原因は「白癬菌(はくせんきん)」というカビ(真菌・しんきん)です。白癬菌による感染症を「白癬」といい、実はこのカビ、足だけでなく手や頭など体のいろいろなところに棲みつくことができるのです。
そんな白癬菌の性質や特徴、治療法や予防法を、白癬治療の第一人者、仲皮フ科クリニック院長の仲 弥先生に伺いました。
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薬指と小指の間、片方の足だけかゆい場合は水虫かも...!
足がかゆかったり皮がむけたりすると「もしかして水虫?」と不安になるでしょう。しかし水虫に似た病気はたくさんあります。
例えば、手足に汗をかきやすい人に多い「異汗性湿疹(いかんせいしっしん)」は、水疱ができたり軽いかゆみが伴ったりし、見た目だけでは足白癬かどうかの判断が難しい病気です。白癬の外用薬を塗ると、さらにかぶれることもあります。
では、どのような症状が足の水虫である確率が高いのでしょうか。
●足の薬指と小指の間がかゆいときは要注意です
足の指の間にできる「趾間型(しかんがた)」の足白癬の場合、薬指と小指の間にできることがほとんどです。なぜなら、指と指の間の間隔がもっとも詰まっているのがここだからです。特に、靴を履くと横から圧迫されてすき間がピッタリくっついてしまいます。すると湿度が高くなるため、ここから発生することが多いのです。
●片方の足にだけ症状が出るときには水虫の確率が高いです
水虫に間違えられやすい病気である異汗性湿疹や、手のひらや足の裏に膿疱(膿を含んだ水疱)ができる掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)などは、左右両方の足に症状が出ます。
しかし、「趾間型」や水疱ができる「小水疱型」の足白癬は両方の足に同時に発症することは稀です。手の水虫も同じです。理由は不明ですが、白癬菌が付着してから寄生するための条件が、左右の手足同時に揃うことが難しいからだと考えられます。
●足の甲までは赤くなりません
足白癬ができるのは指の間や足の裏がほとんどです。指の伸側(しんそく。関節が折れ曲がるのとは反対側)や足の甲にできることは、まずありません。これらの部分が赤くなったりかぶれたりしている場合は、細菌感染など別の原因が考えられます。
かぶれの場合は、かぶれの原因となる物質に接するところだけに生じるため、正常な皮膚と赤みの境界線がはっきりしていることが多いです。
このように足の水虫である可能性を判断するある程度の目安はあります。
しかし、前述したように見た目で判断をして間違った治療を行うと症状が悪化することもあります。皮膚科を受診して白癬菌の有無を顕微鏡検査で確認し、適切な治療を受けるようにしてください。
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取材・文/ほなみかおり
慶應義塾大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部皮膚科医長、同・皮膚科専任講師を経て、1996年に仲皮フ科クリニック(埼玉県川越市)を開業。真菌のエキスパートとしてメディアに多数出演。埼玉県皮膚科医会会長、日本臨床皮膚科医会参与(前副会長)、日本皮膚科学会代議員、埼玉県皮膚科治療学会理事、日本医真菌学会評議員、日本皮膚科学会認定専門医。