歯医者に行った経験が一度もないという人をたまに見かけますよね。頑丈な歯の持ち主かもしれませんが、「虫歯になりにくい体質」という可能性もあります。今回は、虫歯が起きやすくなるメカニズムについてチェックしていきましょう。
口内と細菌の意外な関係
以前放送された「この差って何ですか?」(TBS系)では、虫歯に「なりやすい人」と「なりにくい人」の差について特集。日本大学歯学部付属歯科病院の院長・宮崎真至先生が、虫歯発症の仕組みを分かりやすく説明してくれました。
虫歯の原因となるのは「ミュータンス菌」と呼ばれる虫歯菌です。ミュータンス菌は口内に残った食べカスを吸収して酸を放出。すると酸によって歯が溶かされ、虫歯ができてしまいます。
人体への脅威となるミュータンス菌ですが、実は生後間もない赤ちゃんの口内には存在しないそう。しかし、家族が"感染経路"となって赤ちゃんの口へミュータンス菌を送り込んでしまいます。家族が赤ちゃんにキスをしたり、自分のスプーンを使ってフーフーと息で冷ました食事をあげたりすると感染の可能性がグンと上昇。
人間の口内に住みつく細菌の種類は3歳までに決定され、その後は新たな細菌が入り込もうとしても口内の菌から押し出されてしまいます。従って3歳までにミュータンス菌が口内に混入しなかった人は、虫歯を発症する可能性がほとんどありません。
MCの加藤浩次さんは思わず、「虫歯菌が定住しなくなるってことですか!?」と興奮した様子で質問しています。「そうですね」と頷いた宮崎先生は、「それで虫歯になりにくくなります」と断言。出演者からは驚きの声が上がりました。
ミュータンス菌の撃退方法
3歳までにミュータンス菌が口に入ってしまい、虫歯になりやすい体質となってしまった人も安心してください。宮崎先生は「唾液」の抗菌効果に注目し、「(食べ物を)よく噛む人は虫歯が少ない」とも説明しています。
ミュータンス菌を洗い流すほか、抗菌作用もある唾液が多く分泌されるのは食事中。食べ物をしっかり噛むとよりたくさんの唾液が分泌され、虫歯発症のリスクをグッと抑えてくれます。ただし、柔らかいものばかり食べていると噛む回数が減ってしまうので気をつけましょう。
また人と話す機会が多かったり、口を開けて寝てしまう人は口内が乾いて唾液量が減少します。花粉症や鼻炎など、鼻詰まりの影響で口呼吸が中心となっている人も口内が乾燥しやすいので要注意。
唾液の分泌量を増やすには、口を閉じた状態で左右の頬骨の辺りにある「唾液腺」をマッサージする方法がおすすめです。円を描くように10回くらいほぐすのがポイント。虫歯になりやすい体質だからと諦めず、是非トライしてみてください。