病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。
書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。
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カルシウムが溶け出し、骨がスカスカに!
「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」
●ヨーグルト、納豆、しいたけを
「骨粗鬆症」とは、骨からカルシウムが溶け出すことによって、骨(こつ)密度が低下し、もろくなる症状のことをいいます。「鬆(す)」は、辞書を引きますと、「大根や牛蒡(ごぼう)などの芯にできる隙間」と書いてありますが、まさに骨がそのようにもろくなるわけです。
骨粗鬆症は男性よりも女性に多く見られるもので、60歳以上の女性に多いといわれています。これは、閉経(へいけい)後、女性ホルモンの分泌が減少したことによって骨の形成が鈍化(どんか)した結果といえます。
骨に細かな穴がたくさんある状態ですと、ちょっとした衝撃にも耐えられなくなってきます。そのため、背骨や手首、肩、大腿骨(だいたいこつ)などが折れやすくなるのです。
骨粗鬆症はがんや脳卒中などのように、命にかかわるような病気ではありませんが、骨折が原因となって外出することがままならなくなり、介護が必要な状態になってしまうこともあります。ですから、予防するに越したことはありません。
予防には、食事療法がもっとも効果的といえます。骨の材料となるカルシウム、骨の材料となるタンパク質の生成を促すビタミンK、骨代謝を盛んにするビタミンDなどを多く摂るように心掛けましょう。
カルシウムは牛乳やヨーグルト、小魚、青菜、ビタミンKは納豆、ビタミンDはしいたけなどから摂ることが可能です。これらをバランスよく取り入れてみることです。
また、運動不足は骨密度を低下させる要因の一つにもなります。ウォーキングやジョギングなどを毎日の生活習慣に取り入れ、また、エレベーターを使わずに階段で昇るなど、日常の中でもこまめに努力していくのもよいでしょう。
日本人女性を対象にしたデータによると、骨密度がピークを迎えるのは18歳であることがわかりました(骨粗しょう症ホームページより)。
つまり、骨粗鬆症に罹(かか)らないようにするためには、できるだけ、10代の頃からのケアが欠かせないということになります。
ただし、中高年になったからといって、ケアを怠おこたってもいいわけではありません。なるべく骨折をしない体づくりをめざすため、食事の量に気をつけて、太らないようにすることも有効になります。そして、先述のように、栄養バランスを考えた食事を摂るように心掛けましょう。
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中原 英臣(なかはら・ひでおみ)
1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。
『やさしい家庭の医学 早わかり事典』
(中原英臣[監修]/KADOKAWA)
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