一日のうちで血圧は激しく変わっている/「乱れ血圧」にご用心(1)

一日のうちで血圧は激しく変わっている/「乱れ血圧」にご用心(1) pixta_16978053_S.jpg高血圧は動脈硬化や脳卒中などにつながる症状ですが、血圧は高さのみならず、急激な乱高下も要注意とされています。体の中でしっかり血圧をコントロールする機能が働かないととても重大なトラブルが起こることもあるのです。

詳しいお話を東京女子医科大学高血圧・内分泌内科主任教授で、日本高血圧学会理事の市原敦弘先生にお聞きしました。

 

「血圧」とはどんな数値なのでしょう?

血圧とは「心臓が血液を全身に押し流すとき血管にかかる圧力」のこと。血流を作る心臓がポンプのように収縮して、たまった血液を押し出すとき、血圧は最も高い収縮期血圧(最高血圧・上の血圧)となります。

その後すぐ心臓が広がって新しい血液をため込み、収縮期血圧よりも低い拡張期血圧(最低血圧・下の血圧)になります。血圧は脈拍(心拍数)など心臓の動き、全身を流れる血液の量、血管の抵抗性(硬さ・柔軟性)によって変わります。

 

血圧は常に変化していますが、急激な変化に注意

朝起きてから眠りにつくまで、さまざまな生活シーンごとに血圧は大きく変動します。朝、目覚めると体が活動するために血圧が上がります。朝食を摂ると血圧も上昇し、しばらく高い状態が続きます。

ちょっとしたストレスや怒りや焦りでも血圧は上がります。また寒さによっても血圧が上がり、暑ければ下がります。リラックス時や眠るとき、血圧は下がります。

このように、さまざまな要因で血圧は上昇・下降しますが、それが急激過ぎたり、乱高下したりする場合は要注意。これが「乱れ血圧」で、血管にダメージを与えてしまい、それが積み重なると体のトラブルが起こります。

 

【1日のうちで血圧は激しく変わっています】

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〇睡眠
眠り始めは血圧が低い状態が続き、目覚めに近づくと上がります。睡眠時無呼吸などがあると、血圧は上昇した状態が続きます。

〇起床
体にエンジンをかけて、活動ができるように、交感神経が活発に働いて血圧が上がります。

〇食事
食事の最中は血圧が上がり、食後しばらくすると下がります。

〇ストレスや感情
緊張や忙しさによるストレス、怒りや不安、焦りなどで上がり、安心、幸福感などで下がります。

〇入浴
熱いお湯に浸かった瞬間や、浴室と浴槽の温度差が大きいと血圧の変動も大きくなります。

 

【あなたの血圧は高め?低め? 適正値を知りましょう】

こんな人は高血圧です

◆病院や健診施設などで測定した場合
収縮期血圧140㎜Hg以上、または拡張期血圧90㎜Hg以上(140/90㎜Hg以上)

◆自宅で測定する家庭血圧の場合
収縮期血圧135Hg以上、または拡張期血圧85㎜Hg以上(135/85㎜Hg以上)

さらに高血圧の程度によって、Ⅰ~Ⅲ度までの高血圧に分類され、一人一人の患者が持つ血圧以外のリスク要因を考慮して、「治療目標値」を定めます。

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「高血圧治療ガイドライン2014」(日本高血圧学会)を基に作成

 

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取材・文/宇山恵子

一日のうちで血圧は激しく変わっている/「乱れ血圧」にご用心(1)
<教えてくれた人>
市原敦弘(いちはら・あつひろ)先生

東京女子医科大学高血圧・内分泌内科主任教授。日本高血圧学会理事。慶應義塾大学医学部卒。ホルモン異常や腎機能など高血圧の根本原因を突き止め治療する専門家として年間5000人以上を診る。

 
この記事は『毎日が発見』2018年2月号に掲載の情報です。

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