「自分の人生のゴール」への見通しがつくと人生ラクになる/これも修行のうち。(4)

「自分の人生のゴール」への見通しがつくと人生ラクになる/これも修行のうち。(4) pixta_11570578_S.jpg人間関係、失敗、病気、心配事......生きていれば必ず起こるあらゆるツライことを「上手に消す」心の習慣とは? それは「これも修行のうち」と捉えてみること。

「不安」も「怒り」もすべて妄想だったと気づけるプチ修行の方法を本書『これも修行のうち。』から学びましょう。

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前の記事「シャワーを浴びることが「プチ修行」になる/これも修行のうち。(3)」はこちら。

 

"外れのないゴール"をめざす

「方法はある」というオープンな出発点に立ったら、今度は「目的」を考えましょう。さて、私たちは何のために、生きて、働いているのでしょうか。

ここでちょっと視線を外に向けて、「はて、自分の人生のゴール・目的は何だったっけ?」と考えてみてください。何か思い浮かぶでしょうか。思い浮かぶ目的が、自分が明るく元気になれるものなら、そのまま大事にしてください。でもその目的が、ふと自分を焦らせたり、現実との落差に気づいて落ち込ませたりするものなら、それは"ムダな妄想"です。"正しい目的"を持つところから始めましょう。

「人生の目的なんて、よくわからない。考えたこともない」という人もいます。「目的がないなんて、失格でしょうか」と、さっそく妄想し始める人もいます。

すべての人に、仏教がお勧めするのは、「これは間違いないと思えるゴール」を、人生の行き先にすえることです。というのは、ゴール・目的をすえることで、人生に"見通し"がつくからです。見通しがつくことは人生を本当にラクにしてくれます。では、確実に間違いないと思えるゴール、これならめざして正解だろうと思える目的、いわば「外れのない方向性」とは、どういうものでしょうか。仏教的には、次の三つです――。

 

[1]クリーンな心を保つ

つまり、ムダな反応――怒り・妄想・過剰な欲求や、うぬぼれ等――がない状態でいること。これ、大事なゴールだと思いませんか?

というのも、私たちの日常は「反応せざるを得ない」モノゴトにあふれています。仕事も、人間関係も、ネットやメディアの情報も、その他ありとあらゆるものが、「反応しろ」と迫ってきます。こうしたモノゴトに無防備に反応すれば、心は、欲望や怒りや不安といった思いに囚(とら)われて、グルグル、モヤモヤ状態が止まらなくなります。これは慢性的に疲れます。

そこで、こうした不快な(なんだか気持ち悪いと感じる)精神状態を、早めにリセット(解消)する必要があります。心をすっきりとクリーンな状態に保つこと――これは、すべての人にとって、意味のある目的ではないでしょうか。

 

[2]正しい"心の使い方"を知る

「正しい」というのは、不幸・マイナスを作り出さない、自分の幸せに役立つ、という意味です。たとえば、「この状況・課題・相手には、どう向き合えばいいのか(どうアタマを使えばいいのか)」を、的確に考えられるようになること。ひとはつねに、身と心ひとつで"現実"(仕事・人間・将来・過去)と向き合っているのですから、「向き合い方」つまり「心の使い方」を知っておくことは、決定的に大事なはずです。

 

[3]自分に「納得」できる

納得とは、「これでよし」と思える(肯定できる)心のことです。たとえば、今日一日に納得、選んだ職業に納得、付き合っている恋人・伴侶に納得、今の暮らしに納得、過去の出来事に納得、やがてたどり着く未来の自分に納得――こう思える心境は、それ自体が"人生究極のゴール"といえるくらい、大事ではないでしょうか。逆に、納得できない心には、いつも不満が渦巻き、暗い妄想や殺伐とした感情で一杯です。「生きていてもつまらない」とさえ思えてきます。

人生の理想は、どんな状況にあっても、「これでよし」と納得できること。そうなれたら、どんなに救われることでしょうか――。

 

人生が「ひとつの道」になる瞬間

こうした「外れのないゴール」を、まずは「アタマの隅に置いておく」のです。現実はさまざまで、ままならない出来事も数多いけれど、「でも最終的には、このゴールをめざせばいいんだ」と思えると、ちょっと気が安らぎます。

途中どんなに迷っても、外すことのない大きなゴールを、心にすえる。そして、その間違いないゴールに向かって、小さな"練習"を日々積んでいく。そうした心がまえが決まったら、人生は、フラフラと迷いの多かった過去に訣別して"ひとつの道"になります。

多少のブレがあっても、ときに踏み外しても、最後は間違いないゴールに向かっていく、広く大きな道――「私は、その道を今、歩んでいるのだ」と思えること自体が、大きな納得を運んでくれるのです。

 

次の記事「意識、感覚、感情、思考、意欲。私たちの心の5つの領域を知る/これも修行のうち。(5)」はこちら。

草薙 龍瞬(くさなぎ・りゅうしゅん)

僧侶、興道の里代表。1969年、奈良県生まれ。中学中退後、16歳で家出・上京。放浪ののち、大検(高認)を経て東大法学部卒業。現在、インドで仏教徒とともに社会改善NGOと幼稚園を運営するほか、日本では宗派に属さず、実用的な仏教の「本質」を、仕事や人間関係、生き方全般にわたって伝える活動をしている。著書に『悩んで動けない人が一歩踏み出せる方法』(WAVE出版)、『独学でも東大に行けた超合理的勉強法』(サンマーク出版)、『消したくても消えない「雑念」がスーッと消える本』(大和出版)がある。

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『これも修行のうち。』
草薙龍瞬/ KADOKAWA)

人間関係、失敗、病気、心配事......あらゆるツライことを「上手に消す」心の習慣があります。それは、「これも修行のうち」と捉えてみること。イヤなことは「自分を磨く」ツールになる。ベストセラー『反応しない練習』の著者が教える、日常生活、仕事で使えるプチ修行50!

『これも修行のうち。』

 

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この記事は書籍『これも修行のうち。』からの抜粋です

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