足の血管が浮き出る、ボコボコしている、むくみがひどい...。それらの症状は「下肢静脈瘤」が原因かもしれません。放置しておくと重症化する場合もある「下肢静脈瘤」ですが、軽症のうちはセルフケアで何とかなります! そこで今回は"血管の名医"である広川雅之先生の著書『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』をご紹介。自分の症状はセルフケアで治るの? 放っておくとどうなるの? 別の病気の可能性は? 「下肢静脈瘤」に関する疑問を名医が徹底解説します。
※本記事は広川雅之著の書籍『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』から一部抜粋・編集しました。
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血管に薬剤を注射する硬化療法
硬化療法は、静脈の中に薬を注射して静脈をふさぐ治療法です。
ふさいだ静脈が硬くしこりのようになることから硬化療法といい、空気を混ぜた泡(フォーム)状の薬剤を使用するため、フォーム硬化療法とも呼ばれています。
硬化療法は、側枝型静脈瘤や網目状静脈瘤、クモの巣状静脈瘤といった軽症の静脈瘤、手術後の再発、血管内治療の補助的療法としてよく行われる治療法です。
また、麻酔の必要がなく患者さんの負担が軽くすむため、高齢者、狭心症や心筋梗塞などの病気を合併している人も安心して治療を受けることができます。
硬化療法は注射で行うので、麻酔はしません。
まず、立った状態で足の静脈の3~4カ所に注射針を刺します。
そのまま横になり、泡状にした硬化剤を注入します。
治療後は、静脈にそってスポンジやガーゼを丸めたものを当て、その上から弾性ストッキングをはき、圧迫します。
4日間は24時間着用、その後は1カ月程度日中だけ着用します。
ふさがった静脈はしこりのように硬くなり、炎症が起こるので皮膚が茶色くなります。
しこりは半年くらいで自然となくなり、皮膚の変色は1~2年で徐々に消えます。
硬化療法のしくみ
薬剤は空気と混ぜて泡状にする。
注射で薬剤を注入する。
再発はゼロではないが生活習慣の見直しで防げる
治療を受けた患者さんの多くが心配するのが、再発するかどうかです。
残念ながら、血管内治療や外科治療などの根本的な治療をしても、再発の可能性はあります。
それは下肢静脈瘤は、遺伝や生活習慣、環境などの要因によって発症するため、治療後も同じ生活習慣や環境でいれば、再発するリスクが高まるからです。
なかでも、比較的若い年齢で静脈瘤を発症した人、長時間の立ち仕事をしている人は、リスクが高いので注意が必要になります。
しかし下肢静脈瘤は必ず治る病気ですから、心配はいりません。
またしっかりと治療をしていれば、少なくとも2~3年で再発するということはありません。
これまで再発した例は、全体の約10~20%程度で、治療をしてから約10年以上経過しています。
ただ高位結紮術で治療した場合は、再発の可能性が高くなります。
高位結紮術は、1990年代の最新治療だったのですが、10年間で半数以上が再発してしまいました。
そのため、現在ほとんど行われていません。
また、治療自体が不適切だったために再発することもあります。
静脈瘤を取り残して、未治療のまま残ってしまっているというケースです。
技術的にも未熟な医師もいますから、病院選びも大切です。
治療したのと反対の足に静脈瘤が発症する可能性もありますが、この場合は、再発とはいいません。
再発しないに越したことはありません。
まず、治療・手術前の生活習慣、環境などを見直してみましょう。
立ちっぱなし、座りっぱなしにならないようにする、ウォーキングなど適度な運動をするなど、セルフケアや生活習慣の改善などを心がけることです。