足の血管が浮き出る、ボコボコしている、むくみがひどい...。それらの症状は「下肢静脈瘤」が原因かもしれません。放置しておくと重症化する場合もある「下肢静脈瘤」ですが、軽症のうちはセルフケアで何とかなります! そこで今回は"血管の名医"である広川雅之先生の著書『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』をご紹介。自分の症状はセルフケアで治るの? 放っておくとどうなるの? 別の病気の可能性は? 「下肢静脈瘤」に関する疑問を名医が徹底解説します。
※本記事は広川雅之著の書籍『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』から一部抜粋・編集しました。
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不適切な治療を行う医療機関を見抜くには
「下肢静脈瘤かもしれない」と思ったとき、どのような医療機関で、何科を受診すればいいのかわからないという方は多いと思います。
なかには、きちんと専門医に診てもらいたいと考える方もいるでしょうが、実は「下肢静脈瘤の専門医」というのは正式には存在しません。
もし、下肢静脈瘤専門医と書いてある広告やホームページなどがあれば、それは医療法違反です。
ただし、病院が「下肢静脈瘤専門」または「下肢静脈瘤専門クリニック」と名乗るのは問題ありません。
また「下肢静脈瘤血管内治療実施医・指導医」という資格があります。
これは下肢静脈瘤血管内治療実施管理委員会によって認定された正式な資格ですが、血管内治療を20例行えば取得できる、必要最低限の資格です。
そのため、なかには経験の浅い医師がいることも否定できません。
下肢静脈瘤は血管の病期なので、本来であれば血管外科が適切ですが、皮膚科や形成外科などでも治療が行われているのが現状です。
では、何を基準に病院を選べばいいのでしょうか。
私自身が見たり、患者さんから聞いた話からすると、魅力的な宣伝文句や、「今、手術しておいたほうがいい」「放っておくと大変なことになる」など不安を煽る表現をしているところは気をつけるべきだと思います。
テレビや雑誌で紹介されているところなら、信頼できると考える方もいます。
しかし広告などの宣伝にかかる費用は、治療費から出ていると考えられますから、治療が必要ないのに無理に治療を勧めたり、高額な自由診療をしつこく勧めてくる可能性があります。
例えば「保険適用のレーザー治療は痛みが強い」などと説明して、自由診療のレーザーを勧める悪徳な医師もいるのです。
信頼できそうな病院で受診する際にも、判断できるポイントがあります。
まず、診察や検査がていねいかどうかです。
悪徳医療機関は、患者さんの状態がどうであれ、治療を受けさせる(お金を払わせる)のが目的なので、診察もエコー検査もあっという間に終わります。
そして、画像を見せながら「ここの弁が壊れています」などといい、すぐに治療を勧めます。
通常、静脈瘤が疑われる際のエコー検査は、熟練した臨床検査技師でも両足で30分はかかります。
5分ぐらいでパパッと終わるところは、診断が怪しいと疑っていいでしょう。
実際に「そもそも静脈瘤はなかったのに治療された」「片足だけだったのに両足治療された」「見た目はなんともないが、実は隠れ静脈瘤だといわれた」など、他院での体験を話す患者さんがとても多いのです。
軽症であればセルフケアで改善しますし、「隠れ静脈瘤」なんていうものはありません。
セルフケアの説明もなく、やたら治療を勧めてくる場合は悪徳医療機関と疑ってよいでしょう。
必要がないのに治療をされても、そもそも症状がないのだから再発もしないのは当たり前です。
友人や知人のロコミなら大丈夫かというと、あくまでもその人個人の感想ですから、鵜呑みにするのは危険です。
ご自分で判断するのがむずかしい場合は、かかりつけ医に確認してもらうのも助けになるはずです。
ホームページの情報や医師のプロフィールなどを見てもらえば、ある程度は判別できると思います。
こんな病院は要注意
・広告がたくさん出ている
・クリニックの内装が華美すぎる
・検査の時間が短い(5分以内)
・病状の説明がほとんどないのに治療の説明をする
・「足を切断することになる」「血栓が心臓にとんで命に関わる」などといっておどす
・気にしていない反対の足の治療も勧める
・「保険治療は痛い」といって自由診療を勧める