「下肢静脈瘤」はなぜ起こる? 身体の仕組みを理解して「リスク」に備えよう

足の血管が浮き出る、ボコボコしている、むくみがひどい...。それらの症状は「下肢静脈瘤」が原因かもしれません。放置しておくと重症化する場合もある「下肢静脈瘤」ですが、軽症のうちはセルフケアで何とかなります! そこで今回は"血管の名医"である広川雅之先生の著書『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』をご紹介。自分の症状はセルフケアで治るの? 放っておくとどうなるの? 別の病気の可能性は? 「下肢静脈瘤」に関する疑問を名医が徹底解説します。

※本記事は広川雅之著の書籍『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』から一部抜粋・編集しました。

血液が逆流して足にたまることで発症したり、悪化したりする

下肢静脈瘤は、なぜ起こるのでしょうか。

原因は、静脈内の血液の逆流です。

静脈は、心臓へ流れ込む血液が通る血管です。

一方、動脈は心臓から直接押し出された血液が通る血管です。

動脈が栄養素を含んだ血液を体の隅々まで送るのに対し、静脈は体内で不要になった老廃物や二酸化炭素を含んだ血液を心臓に戻す役割をしています。

静脈は動脈よりも皮膚の表面に近いところを通っていて、手の甲などでは青く見え、太いものは浮き出ています。

【足の血管の特徴】

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足の静脈を流れる血液は、下から上へ重力に逆らって心臓に戻らないといけません。

血液をスムーズに流すのが「静脈還流」というしくみで、次の3つの働きから成り立っています。


1.筋ポンプ作用
足を動かしたとき、ふくらはぎの筋肉が伸びたり縮んだりして、血液を心臓のほうに押し上げる作業のこと。

2.静脈の逆流防止弁
足元から心臓に向かう血液が重力にしたがって逆流しないよう、足の静脈内にある弁のこと。薄い膜で、血液が心臓に向かっているときだけに開き、通過したら閉じる。

3.呼吸
息を吸うと、胸郭という胸椎、肋骨、胸骨で囲われた部分が広がる。すると胸部の内圧が下がり、血液が心臓に戻りやすくなる。

この3つの働きのうち、どれかひとつでもうまく働かないと、足の血液が心臓に戻りにくくなり、足がむくんだりだるくなったりします。

働きが悪くなる理由でもっとも多いのは、逆流防止弁が壊れること。

その原因は遺伝や加齢、生活習慣などが考えられます。

【静脈還流の3つのしくみ】

しくみ1:筋ポンプ作用

足を動かすことでふくらはぎの筋肉が収縮、弛緩を繰り返し、静脈を圧迫して血液を心臓に戻す。

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しくみ2:逆流防止弁の働き

血液が通るときには弁が開き、通過すると閉じて逆流を防ぐ。

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しくみ3:呼吸

息を吸うと胸郭内の圧力が下がり、血液が心臓に戻るのを助ける。

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広川雅之

東京医科歯科大学血管外科で静脈の病気を専門として診療を行い、内視鏡的筋膜下穿通枝切離術(99年)、日帰りストリッピング手術(2000年)、血管内レーザー治療(02年)など、下肢静脈瘤の新しい治療法の研究・開発を行っている。

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血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方

広川雅之KADOKAWA

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※この記事は『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』(広川雅之/KADOKAWA)からの抜粋です。

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