「朝食抜き」は脳の働きにも悪い影響を及ぼす/「感情に振りまわされない人」の脳の使い方

「朝食抜き」は脳の働きにも悪い影響を及ぼす/「感情に振りまわされない人」の脳の使い方 pixta_671480_S.jpg毎週火曜、水曜更新!

「すぐにイライラしてしまう」「なんとなくモヤモヤする」...そんな「負の感情」との付き合い方に悩んでいませんか? 
年齢を重ねれば誰もが感情のコントロールが難しくなるもの。「負の感情」をコントロールし、スッキリ生き生きと生きるために、脳科学や心理学の知見によって得られた効果のある実践的な方法を、書籍『「感情に振りまわされない人」の脳の使い方』から学んでいきましょう。

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脳のコンディションのために体のコンディションを整える

心に浮かぶ「イライラ」や「モヤモヤ」に負けないようにするには、感情をコントロールすることが必要です。
そのためには、すでに触れたEQが大事です。そして、そのEQを高めるには、前頭葉をしっかりと使い、使える状態にしておくことが重要になります。

たとえば、緊張や過度のストレスで頭の中が真っ白になってしまうことがありますね。いわゆるパニックになってしまうというものです。これは一種の思考停止なのですが、このような状態になるのは、前頭葉が窒息状態になっているからだとする説があります。
パニックになったときは、深呼吸をしなさいとよく言われますが、深呼吸をして脳に酸素が行き渡るようにすると、前頭葉の血流が回復して脳のフリーズ状態が解消されます。

前頭葉の状態を改善するためには酸素のほかにブドウ糖も必要です。よく知られているように、脳は唯一、ブドウ糖のみを燃料として動きます。ですから、血糖値が低いと前頭葉もうまく働かなくなるのです。

朝食を食べなくてもよい、いや、それどころか朝食は体によくないとまでいう人がいますが、血糖値の面から見ると、朝食抜きはメリットよりデメリットが大きいことは明らかです。
血糖値は食後すぐに上昇し、インスリンの作用を受けて、徐々に降下していきます。朝食を食べないでいると、昼食まで食べないでいることになりますから、前日の晩の夕食から血糖値は下がり続けており、昼前には脳が飢餓状態に陥ってしまいます。
こうなると、脳が働かなくなってしまっても無理はありません。やはり朝食はしっかり食べて、前頭葉のコンディションを整えておきたいものです。

セロトニンという神経伝達物質や男性ホルモンの分泌が前頭葉の働きにおいては重要であることはすでに述べましたが、こうした機能をしっかり働かせるためにも規則正しい生活習慣が大事です。
そのために、夜は早めに寝て、きちんと睡眠時間を取り、朝は太陽の光を浴びて脳をしっかり覚醒させることが重要です。日光はセロトニンの分泌を促すことも知られています。

当たり前の話ですが、脳のコンディションをよくするためにも体のコンディションを整える基本的な生活習慣を大事にしたいものです。体の健康によいことは脳の健康にもよいということです。

 

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和田秀樹(わだ・ひでき) 

1960年、大阪府生まれ。精神科医。1985年、東京大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て独立。エグゼクティブ・カウンセリングを主とする「和田秀樹こころと体のクリニック」を設立し、院長に就任。国際医療福祉大学大学院教授、一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)、川崎幸病院精神科顧問。老年精神医学、精神分析学(とくに自己心理学)、集団精神療法学を専門とする。著書に『感情的にならない本』(新講社)ほか多数。

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『「感情に振りまわされない人」の脳の使い方』

(和田秀樹/KADOKAWA)

感情の不調は"脳"で治す! 医師にしてベストセラー作家が教える、誰でもできる習慣術。「笑い」を解放することが前頭葉を刺激する、「"こだわり"にこだわらない」がポイント、競輪競馬やゴルフ、マラソンの向上心は脳にいいなど、脳科学や心理学の知見によって得られた「効果のある」「実践的な方法」を一挙に紹介!

 
この記事は書籍 『「感情に振りまわされない人」の脳の使い方』からの抜粋です

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