有名大卒お笑いタレントの漫才が面白くない理由は前頭葉の働きにある/「感情に振りまわされない人」の脳の使い方(22)

有名大卒お笑いタレントの漫才が面白くない理由は前頭葉の働きにある/「感情に振りまわされない人」の脳の使い方(22) pixta_33926354_S.jpg毎週火曜、水曜更新!

「すぐにイライラしてしまう」「なんとなくモヤモヤする」...そんな「負の感情」との付き合い方に悩んでいませんか? 
年齢を重ねれば誰もが感情のコントロールが難しくなるもの。「負の感情」をコントロールし、スッキリ生き生きと生きるために、脳科学や心理学の知見によって得られた効果のある実践的な方法を、書籍『「感情に振りまわされない人」の脳の使い方』から学んでいきましょう。

前の記事「「朝食抜き」は脳の働きにも悪い影響を及ぼす/「感情に振りまわされない人」の脳の使い方(21)」はこちら。

自分と違う世界の刺激を求める

体の機能は基本的に使えば使うほどよくなるのですから、脳も使えば使うほどよく働くようになっていきます。
脳を使うとは脳に刺激を与えること。たとえば、前頭葉の場合は、考えたり、新しい経験をすることが前頭葉を刺激することになります。

まずは「自分の頭で考える」ということが大切です。
同時に、自分の固定観念にはまり込まないことが重要です。
孔子が『論語』の中で「四十にして惑わず」と言ったように、40歳にもなれば誰でも確固とした自説もあれば、自分の人生の流儀もできています。しかし、それと「自分の固定観念に安住している」こととは違います。

自分の考え、人生のスタンスは確固たるものがありながら、他の人の考えや人生の流儀にも静かに耳を傾けてみて、ときにはそれを自分の考えの中に取り込んでみたり、さらには自分の間違えを正していくことができるのが、本当の「不惑」というものです。
既存の常識を疑ってみるという姿勢は、前頭葉の働きを活発にする上で非常に重要なことです。

脳を鍛えるために、40代以降は、これまでの既存の知識を疑ったり、あるいは既存の知識に対して反論をしてみたりする姿勢が必要です。あるいは前例のないようなことを考えてみたりすることが前頭葉を刺激します。

既存の考え方というのはあくまでも知識です。
既存の考え方に乗っかっているだけでは、知識を引き出しているだけで、前頭葉を使っていることになりません。既存の考え方に対して反論をするなり、それとは違う考え方を提示するときに前頭葉は活発に働きます。ですから、物分かりがいい人間になろうとするとか、物知りになろうとするといったことは、前頭葉には必ずしもいい影響はもたらしません。

もちろん、知識は多いほどいいものですから、知識を積極的に得ようとする姿勢が大切だということです。問題は得た知識にとらわれて、既存の考えから抜け出せなくなってしまうことなのです。その知識を応用できたり、既存の知識を疑うのに使えるのなら、知識の吸収は重要なことです。

有名大学を出たお笑いタレントがクイズ番組では活躍できても、漫才が面白くないのは前頭葉の働きがよくないからだと考えられます。要するに知識を漫才に応用できないのです。単に知識が多いというのは、側頭葉の貯蔵や引き出しが豊かだということです。知識を使って独創的な発想ができるのが、前頭葉の働きです。

芸能界だけでなく、知識が多ければ多いほど人が評価される仕事というのは少なく、その知識を使って創造的な発想ができる人が求められているはずです。

 

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和田秀樹(わだ・ひでき) 

1960年、大阪府生まれ。精神科医。1985年、東京大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て独立。エグゼクティブ・カウンセリングを主とする「和田秀樹こころと体のクリニック」を設立し、院長に就任。国際医療福祉大学大学院教授、一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)、川崎幸病院精神科顧問。老年精神医学、精神分析学(とくに自己心理学)、集団精神療法学を専門とする。著書に『感情的にならない本』(新講社)ほか多数。

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『「感情に振りまわされない人」の脳の使い方』

(和田秀樹/KADOKAWA)

感情の不調は"脳"で治す! 医師にしてベストセラー作家が教える、誰でもできる習慣術。「笑い」を解放することが前頭葉を刺激する、「"こだわり"にこだわらない」がポイント、競輪競馬やゴルフ、マラソンの向上心は脳にいいなど、脳科学や心理学の知見によって得られた「効果のある」「実践的な方法」を一挙に紹介!

 
この記事は書籍 『「感情に振りまわされない人」の脳の使い方』からの抜粋です

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