「いくつになっても自分の足で歩きたい」のは全ての人の望み。正しい歩き方を身につけて、好きな場所に出かけたり、趣味を楽しんだり、自分らしい日々を過ごしましょう。一宮西病院整形外科部長・人工関節センター長の巽 一郎(たつみ・いちろう)先生に、「ひざの痛みを改善する! 足ぶらぶら体操」を教えてもらいました。
【前回】「太もも」の力を蓄えて一生歩ける足に! 食前に「座って足指にぎり」
【ひざの痛い人】足ぶらぶら体操
ひざ
ひざの痛みの原因となる軟骨を再生させる体操です。ポイントは、足の力を脱力させて振ること。リラックスして行いましょう。
ひざの痛みが少なくなって歩くのがラクになる!
1セット左右30回ずつ1日3セット(起床後すぐは必ず行う)
一方の足を手で支えながらひざから下をぶらぶらと振る
ここが大事!
足をぶらぶら振ると、ひざの関節を潤してくれる関節液が出て、ひざ関節内の潤滑を促進。
痛みを起こしにくくなります。太ももの筋力で振るのではなく、遠心力で振ることが大切。
ひざの痛みは小さな骨折のせい
平地を歩くとき、ひざには体重の5倍、階段を下りるときには8倍の力がかかります。
「ひざが大きな負荷に耐えられる理由は、軟骨のおかげ」と、巽先生。
軟骨は8割近くが水分で、関節に加わる衝撃を吸収し、関節をなめらかに動かしています。
しかし、体重の増加や良くない歩き方で軟骨が壊れたり減ったりすると、骨と骨が直接当たって小さな骨折が生じ、痛みを感じるように。正しく歩けるようになると痛みもなくなります。
【O脚だと】
ひざ関節の内側の軟骨がすり減ります。変形性ひざ関節症の9割以上の人が該当。
【X脚だと】
ひざ関節の外側に力がかかり続けるため、ひざ関節の外側の軟骨がすり減ります。
[O脚でひざの痛みがある人の例]
歩くときは
小指に重心がかかっています。
O脚により、ひざの内側の軟骨がすり減って痛みが生じている状態。
歩くときは
親指に重心をかけて歩けています。
ひざを外側から内側へ押すと
ひざの外側から内側に向けて押した状態。上と同じ人のひざですが、骨同士のすき間が生まれ、骨と骨がぶつかりません。
軟骨ケアで痛みはなくなる
「適切なケアをすれば、軟骨は再生可能です。ひざ関節の軟骨が完全になくなってしまったとしても、代わりとなる線維軟骨が生えてきて、ひざを守ってくれます」(巽先生)。
軟骨再生には「足ぶらぶら体操」を。
軟骨は8割近くが水分のため、寝起きなど、体をあまり動かしていなかったときは乾燥して、破壊が起こりやすい状態。
動かない姿勢の後は、ひざをぶらぶらと揺らして、関節内の循環を良くしてから動きましょう。
取材・文/オフィス・エム(寳田真由美) 撮影/西山輝彦 イラスト/織田美涼 モデル/川島佐和子(SPLASH)