加齢だからとあきらめてはいけない「半月板損傷」。大切なのは早めの受診と適切な治療を受けること!

膝関節の間で、クッションのような働きをする半月板。筋力の低下や体重の増加などで膝に負担がかかり続けると、この半月板の損傷につながります。大切なのは早めの受診と適切な治療。今回は、佐々木病院副院長 横浜鶴見スポーツ&膝関節センター センター長の堀之内達郎(ほりのうち・たつろう)先生に「半月板損傷」についてお聞きしました。

加齢だからとあきらめないで!
早期の受診で適切な治療を

「半月板損傷」


半月板って何?

膝関節の大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の間にある三日月状(Cの形)をした軟骨の板のこと。

【前から見た図】

2203_p082_01.jpg【断面図】2203_p082_02.jpg

主な原因
加齢による筋力低下
体重の増加
運動のし過ぎ

主な治療法
[保存療法]
生活改善(減量)・薬物療法・装具療法・運動療法

[手術療法]
縫合術・部分切除術


膝を動かすときに違和感や痛みが生じたら、半月板損傷かもしれません。

半月板は膝関節の間にある軟骨で、クッションのように働いて膝にかかる負担を分散したり、衝撃を吸収して膝を安定させたりする役割があります。

この半月板が割れたり、ひびが入ったりする状態を半月板損傷といいます。

中高年の場合、加齢に伴う筋力の低下や体重の増加などによって、慢性的に膝に負担がかかることが原因です。

特に要注意なのは「後角断裂」で、これをきっかけに急激に悪化することが多くあります。

ある日突然、膝の後ろに痛みが走り、激痛で歩くのが困難になることが特徴です。

関節軟骨がすり減る変形性膝関節症や、膝関節に隣接する大腿骨の先端が壊死を起こし、人工膝関節にせざるを得なくなる恐れもあります。

加齢だからと放置せず、膝への影響が少ないうちに早めに受診して、適切な治療を受けることが大切です。


半月板損傷にはこんな症状がある

□ 膝周辺に腫れが見られる。
□ 膝を曲げ伸ばしするときに、引っかかり感がある。
□ 膝関節が完全に伸びない、または曲げづらい。
□ O脚が進んできた。
□ 階段昇降や歩行時に痛みがある。
□ 膝の裏に激痛が走ってから膝が痛くなる。

※症状が悪化すると、膝に水がたまったり、ちぎれた半月板が関節に挟まって膝を動かせなくなる「ロッキング」という状態になって、激痛で歩けなくなることもある。

どんな手術がある?

《縫合術》

方法
断裂した半月板を縫合糸で縫い合わせる。血行のある半月板辺縁部の損傷に対して行われる。

メリット
半月板の機能を温存できる。比較的激しいスポーツでも、また楽しめるようになる。

デメリット
回復までに時間がかかる(術後4~ 5週で全体重をかけられ、術後3カ月でランニング開始、術後6カ月でのスポーツ復帰が目標)。

《部分切除術》

方法
損傷した半月板を鏡視下用ハサミなどで必要最小限切り取る。血行の乏しい半月板中枢部の損傷や、損傷が複雑で縫合術の条件を満たさない場合に行われる。

メリット
回復が早い(手術直後から歩行が可能。手術後2~4週間ほどで日常生活に支障がない程度まで回復)。

デメリット
軟骨がすり減って骨が変形する「変形性膝関節症」になりやすくなる。

※断裂の位置や状態によって、縫合術か部分切除術を選択する。O脚を伴う場合に併用する「骨切り術」を行っている医療機関は限られている。手術はいずれも保険適用内。


早期の適切な治療でスポーツも可能に

診断にはMRI検査が有効です。

X線検査では半月板が写りません。

また半月板がズレていない初期段階ではMRI検査でも見逃される恐れがあるので、できれば、膝専門の医療機関を受診することをおすすめします。

主な治療方法は、上記の通りです。

痛み止めには、「消炎鎮痛薬」の飲み薬・塗り薬・貼り薬を使用します。

また変形性膝関節症を伴う変性断裂の多くはヒアルロン酸注射が有効です。

関節の滑らかな動きをサポートし、膝の痛みを緩和します。

足底板(インソール)やサポーターなどの装具は、医師と相談しながら適切なものを適切に使うことが大切です。

O脚の人は足底板の外側を高くして内側の負担を軽減するタイプがおすすめです。

またサポーターは外出するときや立ち仕事の多いときなど、筋力がつくまでの間、限定的に使用します。


自分でできる簡単トレーニング

治療や予防には膝を支える筋肉を鍛えることが大切。毎日20~30回続けるとよい。

太ももの前の筋肉を鍛える その1

(1)いすに腰かける

(2)片方の脚を水平に伸ばす

(3)5~10秒そのままでいる(息は止めない)

(4)元に戻す

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太ももの前の筋肉を鍛える その2

(1)脚を伸ばして床に座り、膝の下にタオルや枕を置く

(2)下に置いたタオルや枕を片脚ずつ膝で押しつける

(3)5~10秒そのままでいる(息は止めない)

(4)力を抜く

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※脚全体の筋肉を鍛えるためにスクワットなども有効。ウォーキングやプール歩行など適度な全身運動でバランスのとれた体作りを!


運動療法は予防にも有効です。

上に紹介した方法を試してみてください。

保存療法で改善が見られない場合は、手術を検討します。

通常、傷口が小さくて済む関節鏡を使った鏡視下手術を行います。

縫合術が第一選択ですが、中高年の場合は縫合が難しいこともあり、部分切除術を選択せざるを得ない場合もあります。

O脚を伴う場合などは、すねの骨を切って正常な脚の形態に戻す「骨切り術」を併用します。

早期の適切な治療でスポーツや仕事にも復帰できます。

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取材・文/古谷玲子 イラスト/片岡圭子

 

<教えてくれた人>

佐々木病院副院長 横浜鶴見スポーツ&膝関節センター センター長
堀之内達郎(ほりのうち・たつろう)先生
1990年昭和大学医学部卒業。医学博士、整形外科専門医、日本スポーツ協会公認スポーツ医。専門はスポーツ、膝関節外科。昭和大学病院整形外科兼任講師。

この記事は『毎日が発見』2022年3月号に掲載の情報です。

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