認知症予防のための新たな試み。「認知症予防カフェ」ってどんな場所?

精神科・内科のクリニック・アルツクリニック東京は、軽度認知障害(MCI)と診断された人や、物忘れが気になり始めた人を支援する「健脳カフェ」を今年4月に開設しました。認知症予防のための新たな試みが話題です。そこで今回は、アルツクリニック東京院長、順天堂大学名誉教授の新井平伊(あらい・へいい)先生に「認知症カフェ」についてお聞きしました。

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「アルツクリニック東京」ではこれまで、発症の20年前から認知症リスクをみつける健脳ドックを実施してきました。

さらに今回、認知症予防に特化した「健脳カフェ」を開設。

予約不要で誰でも参加できます。

「技術の進歩により、認知症リスクの早期発見が可能になりましたが、その後の治療や予防策がなければ、早期絶望につながってしまいます。アルツハイマー病による認知症の多くは、20年くらいかけて徐々に進行します。早期に対策することで、発症を遅らせたり、進行を緩やかにできます」と、新井平伊先生。


認知症予防の考え方

認知症は、発症すると回復は困難です。しかし、MCI(軽度認知障害)の人やSCD(主観的認知機能低下)の人の場合、適切な対処をすることで発症を遅らせたり、認知機能の回復も期待できます。

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MCI(軽度認知障害)は...

生活に支障が出るほどではありませんが、家庭や仕事でミスが目立つ状態。

SCD(主観的認知機能低下)は...

物忘れが気になり始めたけれど、認知機能の低下は見られない状態。


軽度認知障害といわれるMCIの前には、多くの人がSCD(主観的認知機能低下)になります。

SCDやMCIの状態では、社会生活には支障はありません。

そのため、治療や予防に積極的な人は少ないと、新井先生はいいます。

「健脳カフェ」では、認知症予防の観点から、SCDやMCIの人を対象に、運動教室や絵画教室、学生を交えた認知トレーニングの場など、さまざまなプログラムを実施。

「適度な運動や、他者とのコミュニケーションに取り組むことは、認知症に移行しにくい身体づくりにつながります」。

SCDやMCIの時期に対策をすることは、一生自立した生活を送るための第一歩。

認知症予防の取り組みは、各地の医療機関や介護施設が行っている場合も。

地域包括支援センターなどへ問い合わせてみるのもいいでしょう。


予防のためのカフェとは?

MCI 、SCDの人を対象に、運動や絵画、談話など、専門家によるプログラムに参加することで認知症予防を支援します。

[運動・栄養系]
認知症予防に役立つ教室を日替わりで開催。ストレッチ体操、食事・栄養と、充実の内容。

[認知トレーニング]
認知症の専門医や大学生との世代間交流を通して、知的活動や社会的活動を支援。

[知的活動]
映画鑑賞、カラオケ、絵画など、認知機能低下予防に役立つ視覚的、聴覚的プログラムを体験。

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アルツクリニック東京監修「健脳カフェ」
(東京都新宿区左門町20四谷メディカルビル1FアルツクリニックPETラボ内)

○(営)月~金10:00~12:30、14:00~16:30 
○(料)1,500円(税込、1回2時間半)

※予約不要

※アルツクリニック東京監修「健脳カフェ」についての問い合わせは、(電)070-1067-3512(アルツクリニックPET ラボ)へ。

取材・文/オフィス・エム(寳田真由美)

 

<教えてくれた人>

アルツクリニック東京院長 順天堂大学名誉教授
新井平伊(あらい・へいい)先生

順天堂大学医学部附属順天堂医院で長年主任教授を務めた後、2019年、アルツクリニック東京開院。著書に『脳寿命を延ばす認知症にならない18の方法』(文春新書)など。

この記事は『毎日が発見』2021年10月号に掲載の情報です。

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