腰痛は「心配のない腰痛」と「けがや病気が原因の腰痛」に分けられます。医学博士である松平 浩(まつだいら・こう)先生に、腰痛になった場合の自己対処方法について教えていただきました。
痛みを怖がり安静にすると治りにくい
腰痛で医療機関を受診したときに、腰に貼る湿布や鎮痛薬が処方されて「安静にしてください」と言われることがあります。
「腰をかばって安静にすれば、かえって回復が遅れます。安静にしたままでは、ずれた髄核が元の位置に戻りにくいからです」
腰痛がなかなか治らないと、「痛みはいつまで続くの」「治らないのでは」などと悲観的に考える人もいるでしょう。
「腰痛に対して自分で恐れや不安を抱くことが、腰痛を長引かせたり再発させやすくする要因に。腰痛が繰り返して起こる『負の循環』に陥ることもあります」と松平先生。
「恐れ」や「不安」が良くない理由は、脳の働きとも関係があります。
私たちの脳は痛みを感じたときに、「ドーパミン」という脳内物質を分泌して痛みを抑える働きがあります。
しかし、恐れや不安などの感情があるときは、ドーパミンの分泌が減り、痛みを強く感じるようになります。
「腰痛になったときは『普段通りに動く』という方法を取り入れると、痛みが和らいだり治りやすいです。痛くても悲観的になり過ぎないようにしましょう」
腰痛になったら「安静にする?」それとも「普段通りに動く?」
●誤った情報...「安静にする」
痛みが怖くなり、不安を感じて腰をかばってしまう。
↓
痛みが長引いたり、再発したりする
↓
腰痛が改善しない、負の循環に...
●正しい情報...「普段通りに動く」
痛くても悲観的に考えず、腰痛を和らげる体操をする。
↓
腰痛が和らいだり回復する。
腰痛は髄核がずれると起こりやすい
前かがみになると椎間板の前の方が椎骨に押され、中心にある髄核が後ろにずれて痛みを感じます。
取材・文/松澤ゆかり イラスト/やまだやすこ