「よく眠れない」といったことは、加齢に伴う生体リズムの乱れなどで起こりがち。
でも、単に寝つきが悪いのではなく、脚の不快感で目が覚めてしまうことはありませんか?
今回は、東邦大学呼吸器内科准教授で睡眠時呼吸障害センター長の髙井雄二郎先生に「むずむず脚症候群」の特徴について教えていただきました。
むずむず脚症候群は、脳の神経伝達物質がうまく伝わらなくなることが関係しているといわれます。
その原因が分からない突発性のむずむず脚症候群もありますが、女性に多いのは別の要因が関わる二次性のものです。
「むずむず脚症候群に合併する病気で、最も多いのは鉄欠乏性貧血。鉄分が不足するとむずむず脚症候群を発症しやすいです。 腎不全、糖尿病、パーキンソン病の患者も発症リスクが高いです」と髙井先生は指摘します。
まずは合併している病気の治療をきちんと受けることが大切。
現在、むずむず脚症候群の治療薬は3種類あります。
一つは貼り薬でほかの二つは飲み薬。
また、睡眠環境を整えたり、歩くなど下肢の運動を行い、生活習慣の見直しも重要になります。
「重症化すると脚の不快感で夜眠れなくなり、QOL(生活の質)が著しく低下します。生活の見直しや薬の適切な使用が大切です」と髙井先生。
「むずむず脚症候群」は、 二つのタイプに分類されます
突発性で原因が明らかではないもの
脳の神経伝達物質(ドー パミン)が上手く伝わらなくなり、不快な症状につながります。
二次性で別の病気などが原因となるもの
別の病気や、その治療に使用する薬、嗜好品などが引き金となり脳の神経物質が上手く伝わらなくなります。
鉄分不足の場合は鉄剤投与で改善されます。
セルフチェック
この一週間で、あなたの「脚の不快な感じ」が、どんな症状だった かを思い出して該当するものに○印をしてください。
1 不快な感覚はどの程度でしたか?
4:とても不快 3:不快 2:少し不快 1:わずかに不快 0:全くない
2 その感覚はどれくらいの頻度で起こりましたか?
4:とても頻繁(週に6〜7日) 3:頻繁(週に3〜4日) 2:時々(週に2〜3日) 1:たまに(週に1日) 0:全くない
3 その感覚はどれくらいの時間持続しましたか?
4:とても長い(1日に8時間以上) 3:長い(1日に3〜8時間) 2:中くらい(1日に1〜3時間) 1:短い(1日に1時 間以下) 0:全くない
4 不快な感覚のため、 動きまわりたいという欲求が起こりましたか?
4:とても強く 3:強く 2:中くらい 1:軽く 0:全くない
5 その感覚は動きまわることによっておさまりましたか?
4:全くおさまらなかった 3:少しおさまった 2:中くらい 1:全くなくなった、ほぼなくなった 0:不快な感覚はない
6 その不快な感覚のために、 あなたの睡眠はどれくらい阻害されましたか?
4:とても強く 3:強く 2:中くらい 1:軽く 0:全く影響なし
7 あなたの昼間の疲労感や眠気はありましたか?
4:とてもひどい 3:ひどい 2:中くらい 1:軽い 0:全くない
8 不快な感覚は、どれくらい日常生活に影響しましたか?
4:とても強く 3:強く 2:中くらい 1:弱く 0:全くない
9 不快な感覚によって、 あなたの気分はどれくらい害されましたか?
4:とてもひどい 3:ひどい 2:中くらい 1:軽い 0:全くない
10 あなた自身、むずむず脚症候群だとしたら 重症度はどの程度だと思われますか?
4:とても重症 3:重症 2:中くらい 1:軽い 0:全くない
上記の○囲み数字の合計が31以上の人は、 かなり深刻な「むずむず脚症候群」の可能性があり、 21〜30の人は、 少し「むずむず脚症候群」の可能性があります。
11以上の人は一度医師に相談しましょう
出典/むずむず脚症候群重症度スケール(IRLS)日本語版 Ver.2.1
取材・文/安達純子