「糖質制限」は人間に合わない!? 病気リスクもある「流行ダイエット」の危険性

糖尿病や高血圧、心筋梗塞に脳梗塞...こういった怖い病気の原因が、実は「食べすぎ」にあることをご存知でしょうか。「"ちょい空腹"が体にさまざまなメリットをもたらす」と提唱する医学博士・石原結實さんは、これら「食べすぎ病」の蔓延に警鐘を鳴らしています。そこで、石原さんの著書『やせる、若返る、病気にならない ちょい空腹がもたらす すごい力』(ワニブックス)から、人生100年時代を健康に過ごすための「食べすぎない技術」を連載形式でお届けします。

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あらゆるダイエット法がおかしかった理由

「食べすぎ」とも関連する話なのですが、これまで巷では、数々のダイエット法が流行してきました。

しかし、その多くは、一定期間をすぎると潮が引くように消えてなくなり、話題にもならなくなっていきます。

そんなことが、ここ数十年繰り返されています。

●特定の食品ばかり摂るダイエット

・バナナダイエット
・リンゴダイエット
・ヨーグルトダイエット
・キャベツダイエット
・コンニャクダイエット
・ゆで卵ダイエット

こうした単品ダイエットは「栄養失調≒飢餓」の状態を作り、体重を減らすだけなので、リバウンドがつきものです。

●健康茶(ハト麦茶など)・減肥茶ダイエット

緩下作用のあるハーブやお茶で宿便(大便)の排泄をよくしようというダイエット法です。

宿便がとれた分、体重は減りますがその後の減量は期待できません。

●サウナ、減量ウェットスーツ、パラフィンパック、やせるガードル

これらは体内の余分な水分を外に出すことで減量を目指すダイエット法だといえます。

しかしこれは、「むくみ」をともなう「水太り」の人に一時的な効果があるだけです。

その他、最近話題のものでは「低炭水化物(糖質制限)」ダイエットがあります。

これは簡単に説明すると、ご飯・パン・メン類などの炭水化物(糖質)をほとんど摂取しないというダイエット法です。

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ただし、その代わりに、牛・豚・鶏などの肉・魚介類、それにメンタイコ・イクラ・ウニなどプリン体(痛風の原因となる尿酸を作る)の多い食べ物まで、好きなものを好きなだけ食べていい、とされています。

推奨している人によって細かいルールは異なりますが、おおむねそのような内容のダイエット法です。

低炭水化物ダイエットは、カロリー計算や、食事のバランスなどを考慮する必要もないので、従来のカロリー制限一辺倒の「糖尿病食」や「ダイエット食」に耐えられなかった人々に受け入れられ、急速に広まっていった印象があります。

しかし、この食事療法では食べる種類が少なくなるし、食べる楽しみもなくなってしまいます。

米を主食にしてきた日本、麦(パン)を主食にしてヨーロッパや中近東、トウモロコシを主食にしてきた南米など、世界にはさまざまな食文化があります。

低炭水化物ダイエットはある意味で世界の食文化を否定するものです。

地球上に最初にできた栄養素は糖です。

約40億年前に二酸化炭素(CO2)と水(H2O)に光が作用してブドウ糖(C6H12O6)が作られました。

そして、ブドウ糖から脂肪やタンパク質も約30億年前に作られ、タンパク質から海水中で原始生命が作られました。

人体(というより動物)は60兆個ある細胞の活動源のほぼ100%を糖に依存しています。

なので、長時間の肉体労働や空腹により血液中の糖が低下する(低血糖になる)と、低血糖発作が起こります。

具体的には、イライラ、ドキドキ、痙攣が起こり、ひどくなると昏睡状態に陥ります。

生命にとって一番大切な栄養素である糖も摂りすぎると高血糖(動脈硬化)、高脂血症を惹起して太り、糖(AGEs=最終糖化産物)や脂肪が血管内壁に沈着して動脈硬化を起こします。

その結果、高血圧や脳梗塞、心筋梗塞などの生活習慣病を起こしやすくなります。

低炭水化物ダイエットの仕組みを簡単に説明しておくと、「細胞の活動に一番大切な糖摂取を極端に制限することで、体内の脂肪がエネルギー源になるべく、急速にケトン体に変化するので脂肪が減少。それによって体重が減る」というものです。

その結果、肥満により起こっていた高血圧、糖尿病、痛風、脂肪肝、血栓症などが、一時的ですが、劇的に改善します。

しかし、狂牛病の原因が草食動物の牛の飼料に羊の乾燥肉骨粉を食べさせるという「食い違い」であったのと同じように、人間にとって「低炭水化物ダイエット」は「食い違い」といってよく、種々の病気のリスクを孕んでいるのです。

そもそも、動物の食性は歯の形で決まります。

5000kgの体重を持つ象や、6mの長身のキリン、牛、馬、バッファローなど、大型の哺乳動物は草食(主に多糖類)です。

彼らは平べったい歯しか持ち合わせていないからです。

一方で血液をアルカリ性にするために、ライオンやトラに草を食べさせようとしても絶対に食べません。

肉食用のとがった歯しか持っていないからです。

では、人間はどうでしょうか?

32本の歯のうち20本(20/32=62・5%)が穀物食用の臼歯です。

8本(8/32=25%)が野菜や果物をガブリと食べるための門歯、4本(4/32=12・5%)が肉・魚肉・卵食用の犬歯です。

実に87・5%の歯が炭水化物(多糖類)用の歯を持っている人間が、肉食中心の「低炭水化物(糖質制限)」ダイエットを長く続けると体がおかしくなるのは当然です。

アメリカのハーバード大学では、以前から「低炭水化物」ダイエットを長く続けると、心臓発作のリスクが高まると警鐘を鳴らしています。

「低炭水化物(糖質制限)食」の問題点や危険性として、

1.脳卒中、心筋梗塞などの危険性、死亡率が上がる。

2.肝機能障害、腎機能障害を誘発する。

3.ケトアシドーシス(ケトン酸血症)で意識不明になる危険性がある。

などが医学界で指摘されていましたが、その原因として「高タンパク」「高脂肪」が挙げられています。

「低炭水化物」の最大の問題点は炭水化物用の歯が87・5%を占める人間に肉食中心の食生活をさせるところにあります。

草食動物である牛の成長を早めるべく、飼料の中に羊の肉や骨の乾燥粉を混ぜたために「狂牛病」を発生させてしまったのと同じように、動物の食性に合わない食生活は必ずなにかしらの「無理」を生じさせます。

低炭水化物(糖質制限)ダイエットをやるのであれば、減量できるまでの短期間にとどめるべきです。

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石原結實(いしはら・ゆうみ)

医学博士。1948年、長崎市生まれ。長崎大学医学部卒業後、血液内科を専攻。スイスの自然療法病院、B・ベンナークリニックやモスクワの断食療法病院でがんをはじめとする種々の病気、自然療法を勉強。著書は『「食べない」健康法』(PHP研究所)、『「体を温める」と病気は必ず治る』 (三笠書房)など300冊以上。海外でも合計100冊以上が翻訳出版されている。

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『やせる、若返る、病気にならない ちょい空腹がもたらす すごい力』

(石原結實/ワニブックス)

糖尿病や心筋梗塞、がんといった怖い病気。実は、そのほとんどが「食べすぎ」なければ避けることができるかもしれません。「朝食を抜く」「ショウガを多用する」など、簡単ですぐに実践できる健康的な「食べすぎないコツ」を、名医が教えてくれる「プチ断食マニュアル」です。

※この記事は『やせる、若返る、病気にならない ちょい空腹がもたらす すごい力』(石原結實/ワニブックス)からの抜粋です。
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