インフルエンザや風邪の予防、生活習慣病のリスク低下、さらには美容にもいい「飲み物」があるのをご存じでしょうか。それは普段から飲まれる方も多い「紅茶」です。「13の効能がある」という紅茶のスペシャリスト・斉藤由美さんがまとめた著書『紅茶セラピー 世界で愛される自然の万能薬』(ワニブックス)から、健康のために取り入れたい「紅茶のレシピと飲み方」を連載形式でお届けします。
食後の1杯が、口臭の不安を解消
以前、イギリス人女性が来日した際、数日間、同行したときのことです。
昼食後にハンドバッグの中から何やら誇らしげに携帯用の歯みがきセットを取り出して、こんなことを言ったのを思い出しました。
「日本に来るようになって、いちばん衝撃を受けたのがコレなのよ。若い女性たちが、お昼ご飯を食べたあとに歯みがきをするのを見て、なんていい習慣なのかしらと思って、同じような携帯用歯みがきセットを買ったの。食後の口の中って、気になるものね。これで気にしなくてすむわ」と。
たまたま何度かオフィスで一緒に仕事をしたとき、昼食後に歯みがきセットを持って化粧室に行く女性たちの行動に興味が湧いたらしく、影響を受けたそうです。
オフィスでの食後の歯みがき習慣。
これは歯の健康維持というよりは、口臭が気になるため、安心して仕事ができるように、という理由から流行り出したと聞いたことがあります。
オフィスでもしっかり身なりを整えて、清潔に仕事をしようという日本人女性の美意識の高さを感じるひとコマでもあります。
この気になる口臭が、飲み物で抑えることができるとしたら、かなり助かりますよね。
仕事場は、いつもオフィスとは限りません。
歯みがきできる環境が整わない場所で、食事をしたあとすぐに打ち合わせをするということもあるでしょう。
口臭の原因は、口の中に残った食べかすのタンパク質です。
口臭が気になると、自信を持って人と接することができなくなり、人に不快感を与えているのではないかと心配にもなります。
ある実験では、湯を飲んだ場合と紅茶を飲んだ場合とで、その後の口臭成分の量を比較。
その結果、湯を飲んだ場合は口臭成分が増えていたのに対し、紅茶を飲んだ場合の口臭成分は、飲む前の6分の1にまで減ったそうです。
実際に、食後に紅茶で口をゆすいだり、うがいをしたりしてみると、口の中がすっきりするのがわかります。
この場合もまた、砂糖やレモンなど何も加えていない、ストレートティーであることがポイントです。
歯みがきをする時間がないときや、外出先で急いでいるときなど、紅茶習慣を身につけていれば、助かることが多いことでしょう。
紅茶は、暮らしの中のエチケットにも一役買ってくれるというわけですね。
ただ、紅茶でうがいしたから安心というわけではありません。
これはあくまでも、歯みがきができない環境でのこと。
紅茶やコーヒーや赤ワインなどの飲料は、歯への色素沈着が、一方では問題となります。
自宅にいるときにはきちんと歯みがきをし、定期的に歯科医で検診を受けるなどの配慮が必要です。
保温用ポットに紅茶を入れて携帯することを、おすすめしたいと思います。
それは、喉の渇きを癒やすためだけではなく、ときに体を温めてくれたり、歯みがきができないときには口の中をよい状態にしてくれたりという、外出先での強い味方。
ぜひ紅茶を身近な相棒として、活躍させましょう。
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